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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  加藤三郎さん


郷愁



目の見えない友 義足の友は

広々とした原っぱに座って

声を揃えて

どじょっコだのふなっコだの鬼コ来たなと思うべを唄って

唄って、疲れて

沈黙が続いた


四十男はとんきょうな声で

お母さん・・・と呼んだ

声は山から山にひびき渡って 返ってくる

誰も笑わない 笑えない


もう  一度 お母さん・・・と呼ぶ

みんなが一斉に

発破のあとの響のように谷谷の底に吸い込まれていった








共同墓地の前で



可愛い

オカッパの幸子が

私の脳裏に浮ぶ

私は抱きたい衝動になって 幸子・・・お前はなぜ生きていて呉れなかったんだ。


あの時は貧乏のドン底で 南瓜と豆腐のオカラばかり食べた時だから お前は栄養失調で死ななければならなかったんだ。

母ちゃんも乳が出なくなって お前もつらかったろ。だが お前は豆腐のオカラをうまいうまいと食ったんだってなア。

お前の母ちゃんは四人の子供を育てるために、朝の二時頃から夜の十時か十一時までも豆腐作りしなければならなかった。

借金があった。

病棟にいる父ちゃんのところに お前を背負った母ちゃんは まだ夜の明けないうちにマラリヤと癩病で入院している私を病棟の裏の下駄工場の軒下まで呼び出して

「いくら働いても生きていけそうでない、どうせ死ぬなら一緒に死にましょう」と云った。

父ちゃんは母ちゃんと泣けるだけ泣いて語った。


お父ちゃんもお母ちゃんも お前の兄ちゃん姉ちゃんを親無子にして 社会に残して死ぬ気にはなれなかったのだ。

生きれるだけ生きようと思った。

私は何のためらいもなく泣かせて貰った。

今は こう こんなに涙でビショビショだ。

療養所ではどんなに悲しくても 寄合所帯だから

思いきって泣けもしないんだよ。

幸 幸 お前は死んではいない。

身体はここに埋っているが、幸子 お前は死んではいない。

お前の霊は生きている。

私の心に生きている。



加藤三郎さんの過去記事


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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