今、農業ができている自分に十二分に満足しているし、この仕事に誇りとプライドを持っている。
里山を維持するためにも、一人でも多くの人が農業に参入し、農的生活ができるようになればいいと思うが、現実は、田舎に住んでいても、農的生活はできないのが現実である。
現在では、農業ができるできないは、都会に住んでいるか、田舎に住んでいるかの区別ではなく、経済力があるかないかに左右される。
ずっと農業がして来れたのは、家人に定職があったからである。
もっと収入が上がるように農業形態の変更をいろいろ模索したが、結局、変更することができなかった。
20年ほどやってきて、農業で食べていくのは大変だと思う。
政権が変わっても、有畜、小農、複合、自給型の農業者には、何の援助(補助)も期待はできない。
もちろん、農協など何の役にも立たない。
あっという間の20年だった。
田舎の20~30羽養鶏や、使役を兼ねた牛の1頭飼いが、たった50年ほどの間に廃れてしまい、10万~100万羽単位のケージ養鶏や、牛の多頭飼いに移ってしまったように、今後の農業は、
(1)企業農業
(2)集落営農(補助金の受け皿)
(3)大規模認定農家
等に集約されていくのだろう。そして、こういう農業に莫大な補助金を投入し始めている。
農業の二極化がますます進む。
一人でするから農業は楽しい
雇用農業など会社勤務と同じである
一人または家族農業でないと、環境も里山も守れない
組織農業や大規模農業は人間疎外型農業である
つまり、国が推し進めようとしている農業は、いわゆる20世紀型農業であり、時代に逆行している。
ボクが農業を選択した時代はまだよかったが、今は農業を取り巻く状況がますます悪化している。害獣の進出や気候の問題が大きい。
定年帰農型農業しか、農業への新規参入が困難になっている。
心を解放してくれるのは大地しかないのに、現役世代は、土に触れることさえできなくなっている。
どうやったら自分らしい生き方ができるのか。
田舎で農業をしながら、多くを持たず、多くを期待せず、小さな生活圏で、自然を相手に謙虚に生きる。こんなつつましい生活さえ、一人だと150万円、家族だと250万円ほどの生活費がかかるだろう。いったい、どうやって稼いだらいいのか。