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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

掌の会話


Kと会話するときは
彼の肩に かるくノックすることから始まる
差し出した右の掌での
指の筆談である

広島生まれと言っていたが
被爆したのかどうか
聞きそびれてしまったのが
心残りであった

Kは
両眼とも弱視
耳は難聴
それに言語障害を持ちながら
誤字や文脈のみだれには
すばやい反応が 返ってくる
掌は黒板

ハンセン病療養所の農園で働いたKの手は
びっくりするほど
分厚くて大きかった
この所内では誰もが
Kを疎外する者はいなかった

今宵は
通夜堂に
彼と交友のあった
数知れぬ指先の感触を
機敏に受けとめた
Kの掌は辞書

あす出棺



1989年 7月12日
2003年 12月14日改作

長島愛生園 「境 登志朗詩集」より





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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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