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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

空白

囚人護送車にゆられて
降り立った所は
ひなびた漁村の木造りの桟橋

1946年4月4日
肉親との別離の舞台
猟師船に乗せられ 去っていく
弟に
はげしく手をゆさぶる姉
その背に負ぶさったおさな子は
母とおなじ思いに
声をあげて泣いていたのだろうか

海も空も清く澄んだ鏡のなかを
半円を描くように ぼくも手をふる
そのたびに
視界から桟橋が消えてゆく

背すじを射る
村人のまなざしに耐えかねて
永住の島
らいの島
らい療養所にたどり着いた日よ

「顔色のつやも良く
お元気そうで・・・」
車から降り立っての第一声であった
なんのわだかまりもなく
ぼくの胸のなかに滑りこんだ
おさな子のあなたは
母の生まれ変わりか
56年間の空白の歴史は
なんら障害も感じられなかった

語らいながら過ごした島の時間は
短すぎた
薄暮の世界に傾いてゆく わが視力の一頁に
あなたの映像を
焼きつけておかねば


2002年 8月30日


長島愛生園  「境 登志朗」 詩集
1946年 19歳の時、長島愛生園へ入所


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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