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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

死の行軍

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  昨日はヤギのことで気分が高揚していたのに、今日は逆に、手間を取られたりすることはないだろうかと心配気味になった。

 ニワトリの時は飼いたい一心だったのに、ヤギに対するこの不安は何だろう。この差が、ニワトリは18年間飼ってきたが、ヤギはこの間、飼うことができなかった原因である。

 確かに45年ほど前まで、ニワトリとヤギは「自給」の要だった。あの当時は時間というものがゆったりと流れていた。だから、ヤギの乳をゆっくり搾ることもできただろう。

 ところが45年後の現在は、時間のスピードが当時とは比べ物にならないくらい早い。いつも時間に追い立てられるような生活をして、精神的なゆとりをなくしている。

 それでも、ニワトリは現在の時間スピードに遅れていない。ニワトリに時間を取られているという意識はあまりない。

 確かに1日1回は、餌やり、水代え、青菜やり、集卵と4仕事あるが、10分ほどしかかかっていない。わざわざそのために田んぼに来るのではなく、農業の傍ら飼っているので、無駄な時間はない。

 無駄よりも、卵のおかえし、糞のおかえし、クズ野菜を掃除してくれる、家の食べ残りも無駄にならないという4拍子のお礼をくれる。

 ひるがえって、ヤギはというと、機械での草刈と、ヤギでの草刈とどちらが時間を節約できて、どちらが経済的かという比較に集約されている。

 こんな風に考える自分は明らかに余裕がない。

 ニワトリは1日1回、10分の世話ですむが、ヤギは1日2回、(10分×2回=20分)の世話がいる。つまり、朝、どこかの草刈場に連れて行ってつなぎ、夕方、その草刈場から連れて帰り物置に入れる。
 
 20分もあれば、草刈機を使えばかなりの草が刈れる。

 でもこういう風に考えてはいけないのだ。

 ヤギを草刈場に連れて行く10分間を楽しみ、連れて帰る10分間を楽しみ、ヤギのいる風景を楽しむ。これが農業の楽しみなのに、すぐ「経済的判断」だけを自分は持ち込んでしまう。

 しかし、こういう風に考えざるをえないくらい、世の中は世知辛くなったし、世の中は変わってしまった。だから、大多数の人はヤギが飼えなくなったのである。口で言うか言わないかの違いで、大半の人が経済的判断だけを優先せざるをえなくなった。

 それなのになぜ・・・?。それは草刈が少し負担になってきているから。だから、機械の草刈とヤギの草刈を天秤にかけた。

 それでも、ここまできたらもう引き返せない。とりあえず、1年間だけでもヤギを飼ってみよう。

 そして今日は、飼うとしたら、どこで飼うか、いろいろ思案した。雨降りでない日は、田んぼか、
隣接する山すそのどこかにつないで、1日中戸外で過ごさせるつもりだが、夜間と雨の日は小屋の中で過ごさせてあげる必要がある。

 その小屋であるが、
 

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(1)左の画像の物置の中の一部分(1坪半)をヤギ小屋にする。
(2)物置の北側に畳1畳分ほどのヤギ小屋を作る。
(3)物置の東側に畳1畳分ほどのヤギ小屋を作る。
(4)真ん中の画像の、左側の棚と右側の棚の間のスペース(2坪)をヤギ小屋にする。

 以上の4箇所を候補にして考えた。なぜ物置周辺にしたかというと、ヤギは人間との触れ合いが必要だから。逆にニワトリは、人間が近くにいると落ち着かないので、人間が近くをあまり行き来しない静かな環境がよい。

 45年前まで、集落のほとんどの家で黒い役牛を飼っていたが、牛の小屋は必ず、玄関横の、家人の目が最も頻繁に行きかう場所にあった。それくらい、牛に目をかけていた(注意をはらっていた)。
 ヤギもそうする必要があると、幼い頃の見聞が教えてくれた。

 だから、小屋の候補地は上記の4ヶ所にすぐに決まった。しかし自分は、 カナヅチ、クギ、ノコの扱いが極度に不得意。だから大工仕事は一切しない。となると既存の物置(これも区切るという大工操作があるが・・・)を利用するしかない。大工さんに依頼してヤギ小屋を作ってもらうというような「設備投資」は今回はしたくない。それをすると、「草刈機の草刈」に比べて「ヤギの草刈」の方がはるかに高くついてしまい、本末転倒になる。

 だから、候補地を準備したのは「心のはからい」であって、意識下では、物置の中にせざるを得ないということは決まっていた。

 物置は6坪(鳥小屋は4坪半)あるが、4分の1の「1坪半」をヤギ小屋にしようというのはすぐに決まった。これ以上広くても狭くてもよくないと思った。理由は、

 広くすると「糞出し」に手間がかかるし、ヤギの下敷き(ワラなど)がたくさん必要になる。

 狭くすると、雨天続きの梅雨に戸外に出すことができず、これ以上狭いとストレスになる。

 今日は朝からヤギの本を2冊読んだ。1冊はもう10年以上も前に知人にもらったヤギの本である。それくらい以前から「ヤギを飼ってみたい」という意識はあった。

 これだけでは物足りず、
(1)鳥取県、八頭総合事務所に電話して、ヤギのレンタル事業について詳しく聞いた。
(2)農業仲間のAに聞いた。
(3)同じくBに聞いた。
(4)同じくCに聞いた。

 それぞれの人の話は、本とは別にまた大いに参考になった。

 ヤギは16~17年生きるが、出産可能期間は9才頃まで。

 首輪や鎖は犬用のものでよく、ホームセンター等に売っている。

 レンタルはなぜ岡山県にないの?、岡山県のことは岡山県の畜産試験場か県庁の農林水産部にお聞き下さいと言われた。

 「鳥ネット→八頭総合事務所→和牛とヤギの放牧」でグーグルで検索(電話した時に見るように勧められた)すると、放牧の様子が画像にアップされていた
 飼ってもいないうちから聞きまわらなくても、飼い始めてから、飼いながら、考えればいいだろうに・・・。確かにニワトリはそのようにできた。しかし、ヤギはそういうわけにはいかなかった。

 今年は農業歴20年目に入り55才。残りが20年とすると75才。今年は農業の「中間点」だと思う。75才までできれば40年も農業ができたことになる。今後どういう現実が押し寄せてこようとも、自給野菜だけは作り続けるだろう。

 ワンパック宅配は65才頃まで。

 ニワトリは多分、自給野菜とセットで続くと思う。

 ヤギはとりあえず1年は飼ってみよう。

 今まで何度か、ワンパックと並行して1~2種類の専門作物を持とうとしたが、持てなかった(持つ能力がなかった)。
 年齢的にももう、初めての新たなことには手を出さず、半農半ブログの生活を充実させるつもりでいた。だから「新たな農業チャレンジ」としてはヤギが最後の挑戦になるだろう。

 時は2015年、江戸の三大飢饉をしのぐ凶作に見舞われ、人々は自然を求めて民族大移動を始める。その過酷な死の行軍にヤギが現れ、その身を呈して、多くの人々の命をミルクと肉で救った。

 豚は役に立たなかった・・・

 牛も大き過ぎて役に立たなかった・・・

 ただ、30羽のニワトリだけは、最後までその地位が揺らぐことはなかった。鳥インフルエンザなどものともせず、ヤギと共に行軍に加わり、卵と肉で、多くの人々の命を救い続けた。


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp
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