FC2ブログ

あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

過去記事より  めぐみは数ではない


2020年8月23日の記事の再掲です。



読んだ本の記憶が頭にあまり残っていない。


多分、素通りしただけ。


記憶に残る本に出会うことができなかった。

出会っていたかも知れないが、それを読解できなかった。




雑念はうかばずなりてひたすらに生きむと思ふひとりの為に
(津田治子)




神谷先生に捧ぐ


そこに一人の医者がいた

五十年の入院生活を続けている私たちにとって

記憶に残るほどの医者に恵まれてきたわけではないが

めぐみは数ではない


そこには一人の医師がいた

「なぜ私たちでなくて、あなたが?」とあなたはいう

「私の”初めの愛”」ともあなたはいう

代わることのできない私たちとのへだたりをあなたは

いつもみずから負い目とされた


そこにはたしかに一人の医師がいた

私たちは いまとなっては真実にめぐり会うために痛み

病むことによってあなたにめぐりあい

あなたのはげましを生きることで

こうして

あなたとお別れする日を迎えねばならない


さようなら

神谷美恵子


さようなら


これは入所者の島田ひとしさんが書かれた神谷美恵子さんの弔辞(詩)である。島田さんは独学でフランス語とドイツ語を学んでおり、神谷先生が来られると疑問点を尋ねていました。詩人で理論家、患者運動にも積極的で、愛生園入園者五十年史『隔絶の里程』の中心編集者、執筆者の一人でした。(いつの日にか 帰らん P203)








胸の泉に


かかわらなければ

この愛しさを知るすべはなかった

この親しさは湧かなかった

この大らかな依存の安らいは得られなかった

この甘い思いや

きびしい思いも知らなかった

人はかかわることからさまざまな思いを知る

子は親とかかわり

親は子とかかわることによって

恋も友情も

かかわることから始まって

かかわったが故に起こる

幸や不幸を

積み重ねて大きくなり

繰り返すことで磨かれ

そして人は

人の間で思いを削り思いをふくらませ

生を綴る

ああ

何億の人がいようとも

かかわらなければ路傍の人

私の胸の泉に

枯れ葉いちまいも

落としてはくれない

(大島青松園 塔 和子)










一生の間に縁のある人も本も、数人であり、数冊である。

たった一人の人が、己の人生を左右することもある。

たとえ風のように通り過ぎてしまった人でも。



還暦の頃まで40年近く、本を読んだりする時間がとれなかった。

自分の中で、ゆっくりする時間がなかった。

性格だったのか、生活のためだったのか。

そんな自分であるが、講演のポスターがきっかけで石田雅男さんと出会い、ハンセン病文学に導かれた。そして短歌や詩を楽しむようになった。感動し癒された。

そういう心が自分に残っていた。

繰り返しているうちに、感動が薄れていくことはない。逆に深まっていくように思う。

繰り返すことを続けると、他のことに手を広げれない。

広げようとすると、感動の深みや癒しから遠ざかってしまう。

だからおのずと、多くは読めない。

他に広げなくても、たった数冊の本で気持ちを気高く保つことができる。



人生で出会える人も本も、限りなく少ない。

多く出会う必要もなく、多く読む必要もない。

いいと思ったら、飽きるまでは、それを繰り返せばいい。繰り返すほど新たな感動がある。



 

2030年 農業の旅→にほんブログ村 料理ブログ 男の料理へ


このページのトップへ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp
にほんブログ村 料理ブログ 男の料理へ



セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

最新記事

最新コメント

カテゴリ

カウンター

QRコード

QR

検索フォーム

月別アーカイブ