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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

ベーシックインカムに対する鋭い批判


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8月27日 毎日新聞9面 オピニオン 一部抜粋



第一に、今なお世界経済の基調である新自由主義、つまり、非正規雇用、公的部門の民営化、自己責任論に象徴される経済温存のためにBIが支持されていることだ。

「エコノミスト」7月21日号はBI特集を組んだが、そこで新自由主義の旗手である竹中平蔵は「生活保護が不要になり、年金も要らなくなる」としてそれを財源に回してBIを導入することに賛同している。

さらに「社会主義国が資本主義にショック療法で移行した時のように、一気にやる必要がある」とも。

竹中の議論を警戒すべきなのは、BI導入が社会保障給付の切り下げ、という考えにつながりやすいことだ。お金は平等に配分したのであとはご自分で、という空気に支配された社会は、どれほど冷たいだろうか。






第二に、BI論の広い射程を見誤る危険性。

BIの制度や歴史に詳しい山森亮が論じるように、BIの議論の背景には、土地や水のように誰もが利用できるはずのコモンズを独占する権力者への抵抗、煙突掃除人やゴミ運搬人など厳しい環境で働く人びとへの敬意、女性の家庭労働の評価を求めてきた歴史が含まれる。

その上、特別定額給付金のように世帯主ではなく、個人への支給を原則としている以上、保守的な家庭制度や職業観の解体に連結する。

その覚悟なきBIは逆に危険だ。






第三に、NPO法人POSSEの代表で、日本の非正規雇用労働者の立場からBIを論じた今野晴貴の議論である。今野は、労働運動が脆弱な日本でBIを導入したとき、経営側の人件費削減に利用される可能性が高いと警告する。

そして、生活ニーズに対応する現物給付のサービスが希薄な日本では、企業の福祉を享受できない非正規雇用労働者の社会保障が薄くなる可能性も大きい。

「BIが給付されたとしても、子育てや介護、住居などの必要なニーズが満たされるわけではないために、やはり非正規雇用労働者の生活は相変わらず不安定なまま」になりうる、という今野の指摘は鋭い。

つまり、公共の現物サービスが未発達なままでBIを導入しても、非正規雇用労働者は、毎月のBIをすぐに生活維持のために消尽せざるをえない。にもかかわらず、自己責任文化が強まれば自己管理能力が低いなどと詰られる可能性さえあるのだ。

財政学者の井出英策がBIの代わりに「ベーシックサービス」の充実を訴えているように、社会保障を金銭に一元化する危険性はやはり考えなくてはならない。






以上のBIの議論を、私の専門である「食」という「現物」から考えてみたい。

75年前の敗戦時、日本中が飢餓に陥っていたとき高い代償を払って人びとが学んだのは、お金では胃袋を満たせないということだった。農家から闇米を買うため服を売ったり、空き地を菜園にしてサツマイモやカボチャを収穫したりすることが、敗戦後の人びとのベーシックな生命維持手段だった。

さらに、給食は貧富に関わらず子どもに食を現物給与して貧困家庭を支えた。

コロナ禍で学んだことは、外国からの輸入と外国人労働者に支えられた日本の生存基盤の脆弱性であった。

災禍でも耐えられるほどの食を安定的に供給できる社会の構築は金では買えない以上、食に関連する諸制度の充実を抜きにしたBIの議論は絵に描いた餅となろう。



藤原辰史さんは最近名前をよく見かける気鋭の論客である。ベーシックインカムの私の考えの反省をしつつ、大変参考になりました。



2030年 農業の旅→ranking



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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp
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