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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

民俗学者・宮本常一さんの「寄りあい」に関して



7月29日の毎日新聞2面に『「寄りあい」に学ぶこと』という毎日新聞の専門編集委員が書かれた記事があった。


これは日本の田舎に古くからある地域の夜の集会「寄りあい」について「日本型民主主義の究極の姿だ」と学生に紹介している・・・と。


田舎にこんな民主主義など、あるわけがない。


民主主義が根付いていたなら、「太平洋戦争への道」は防げていたはずだ。


寄り合いによって「物事」が民主的に決まるように思っているらしいが、

たいていはその寄り合いの前に、地域の有力者に話を入れて、まずはその人の話を聞き、うまく話しをまとめてくれるようお願いしたり、特定の方向へ向けるような話をしてほしいと依頼したりなどの「根回し」をしていることが多い。


例えば、地域に原発や他の「ハコモノ」を誘致する時、いきなり寄りあいでその話を持ち出したりしない。話を持ち出した時には、すでに方向を決定しており、寄り合いは、一応反対意見も聞くが、多くは「了承」を求める場になっており、かんかんがくがくの議論がなされるわけでは全くない。


そういうハコモノを持ち込みたい業者は、前もって菓子箱等をもって、その地域の有力者と言われている人に先に話を持ち出し、参考意見を聞いて、どのように進めたらうまくいくかの作戦を考える。


田舎のハコモノの大部分はそのようにして決まると思う。地域の寄りあいなどで決まると考えるなら、それは「田舎暮らし」の経験がない人である。


地域の寄り合いは議論より、少数の反対意見を孤立させてしまうことの方が多い。そしてみんなが賛同するような「同調」の場になることの方が多い。



田舎では、田舎の人同士の「監視」という目も多いと思う。


太平洋戦争に加担したような、戦前の「隣組」などの組織を見れば、「寄りあい」が民主的な議論の場ではないことなど一目瞭然である。


戦後もこの状態が全く改善されなかったことが、「今という社会」に顕著に現れている。


いけやすすめの高度成長の時代には、それが目立たなかっただけで、成長が終わり、下降に向かう経済下では、これまでのひずみが表面化してくる。


ここ数年の政治状況を見せつけられ、この国の現状に絶望して、もうあきらめてしまっている自分がいる・・・





記事の一部を抜粋しておきます。

・・・「忘れられた日本人」(岩波文庫)の冒頭に収録された「対馬にて」という一節である。

筆者の民俗学者、宮本常一(1907~81年)は学術調査で長崎県・対馬の漁村を訪ねる。

村の区長宅に古文書を収めた箱があり、見せてほしいと頼んだ。これは了承されたが、一晩では書き写しきれないため、翌日に拝借を願うと「寄りあいにかけて皆の意見を聞かねばならない」と言われて会場に行くというストーリーだ。

寄りあいは前日から続いていた。夜もなく昼もなく、何かを決めるには皆の納得のいくまで何日もかける。その間、区長や総代は聞き役として居続ける。

古文書の貸し出しはこもごも意見が出た後に許可されたが、寄りあいはなお他のテーマで続行されたという。

調査時期は50、51年。寄りあいの記録は江戸期からあり、対馬全域の自治習俗らしい。

宮本は「気の長い話だが、とにかく無理はしなかった」「だから結論が出ると、それはキチンと守らねばならなかった」と書き残している。

難しい言葉を使わなくても、人間集団が穏やかに暮らしていけるよう育まれた知恵なのだろう。慶応大の上山信一教授は宮本の記述について「日本型民主主義の究極の姿だ」と学生に紹介している。

「論点を先鋭的に並べ立てない、とても高度な文明だ」と。




これは全くのきれいごとだ。草の根でこういう民主主義が根付いていたなら、あの戦争に至った道は回避できていたはずだと思うし、原発などの誘致も決してされなかったと思う。「対馬」が特別とも思わない。

日本全国の田舎の津々浦々で、ハコモノの誘致の時は「根回しがあり、事前に話を決め、寄りあいは意見を聞く場のように見えて、賛同を得るという同調の場」である。


田舎では、人間関係がどうしても濃いので、あまりいさかいは起こしたくなく、寄りあいなどの場で、強く自分の意見を言わない人が多い。だから先行しての「有力者への根回し」や「見えないワイロ」が幅をきかす。



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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