三日月のとがる夜空や仰ぎみて身を置く方の終にあらぬを
からうじて曲れる指に持つ針のをみなぞ哀しつつましく縫ふ
学帽の古りしかむり明日よりは院の作業に従う子等か
淋しさに堪へ難き日は手文庫の古き写真を出してもの言ふ
われひとり見るには惜しき鉢の花一と日は友の枕辺に置く
薪を挽く鋸がしばしば陽に光り六月の海よ平らなりけり
手花火を焚く少女らの手もとより盆の宵やみほぐるるらしも
癩われに死ねといどみし父もまた
静森鵑子郎さんの略歴
『白砂集』(昭和15年)に出詠。
Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
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