久久の帰りし里の病める身は友とてもなし山に登りぬ
ふるさとの春に帰りて野を行けば土に親しき陽の匂ひあり
兵の弟を恋ひて
おもほへば汝はきびしき兵にして癩院にゐる我に遠しも
島の少年をあづかりて(少年室教師として)
麻酔して受療せる子がゆくりなく憑かれし如く吾が名を呼べり
ちち故にはは故のこの醜病みの我を
骨肉にかかる
雨乞ひの焔明りのひろごりて瀬戸の宵闇深まりゆくも
大鷹勝彦さんの略歴
大島療養所。『白砂集』(昭和15年)に出詠。
Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
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