痛きまで人に愛され愛すといふ覚えなきまま病重りゐつ
年に一度癩院の外ゆく船の旅みなぎる照りの何ぞ
健やかな人ら住みゐる街のさま船よせて吾らひそかに見つむ
乳呑児に生き別れ来しこと云ひ出で女まさしく酔ひみだれをり
空気銃まどの近くにうちし音ひるのまぼろしをつき崩したり
看護婦の手くぼひそかにみつめゐて稚き羞恥ふとよぎりたり
ひっそりと脈とられゐて看護婦の手窪なんとなく艶めく日あり
Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp