まだ37才なのに、すごい。背負ったものは、あまりに大きいと思うが、その重さにおしつぶされていない生き方
司法試験に5回失敗したのは運が強い
「あなたの期待に応えたい」・・・しかしすぐにまた、あなたを頼って来られるでしょう
「罪を受け止めるのには勇気がいる。生き直せると信じて見守るのが自分の役目だ」・・・それは他の人のことであり、自分のことでもあるのだろう
生きて償うとは
千葉龍一さんのような生き方をすることか
亡くなった友人を絶えず傍らにおきながら、二人三脚で、支えにまわる
千葉龍一さんでないとできない仕事
朝日新聞10月25日 ひと 出所者のためのシェアハウスを運営する
千葉龍一さん(37)

株式会社「生き直し」。そんな名の会社を起こして1年。刑務所を出た後に住む家の無い人が身を寄せるシェアハウスを東京で運営し、夏に女性用の施設も開いた。
大学1年の時、車を運転してガードレールに衝突し、助手席の友人が亡くなった。高校時代、共に甲子園を夢見た仲間だった。
自分はかすり傷。前方不注意で逮捕、起訴された。友人の母親は「許せない」と泣いた。俺だけ生きるのは許されない。家に引きこもり、死ぬことを考えた。
支えてくれたのは元野球部の仲間たちだ。「お前は生きてくれ」。減刑を求める嘆願書には494人の署名。判決には執行猶予がついた。生きて償わねば。仲間たちの思いに背きたくなかった。
自分のように罪と向き合う人を助けようと、一念発起して弁護士をめざしたが、司法試験に5回失敗。目標を見失いかけた時、東京・歌舞伎町で出所者らを支援する「日本駆け込み寺」を知る。働かせてほしいと門をたたいた。
窃盗、詐欺、覚醒剤、元受刑者たちは過ちと向き合おうともがいていた。「罪を受け止めるのには勇気がいる。生き直せると信じて見守るのが自分の役目だ」
独立したのは昨年。これまでに11人が自立するのを見届けた。
「あなたの期待に応えたい」。この夏も、前科2犯の男性がそう頭を下げて巣立っていった。