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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

コンクリートより人だ


今日の毎日新聞の2面に、藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)さんが、「東日本大震災からの復興」と題して「コンクリートより人だ」という論説を書かれている。

すばらしいので、あなたにも読んでほしいと思い、書き写しました。長いので、一部を省略させて頂きましたが、全て原文のままです。


時代の風 藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)

東日本大震災からの復興 コンクリートより人だ


三陸の釜石鵜住居うのすまい復興スタジアムで開催された、ラグビー・ワールドカップのフィジー対ウルグアイ戦の帰路に、この原稿を書いている・・・


東日本大震災の大津波は、試合会場となった鵜住居地区だけでも、約600人の命を奪った。だが、このスタジアムの場所にあった小中学校では、津波来襲までの40分少々の間に、児童生徒が助け合って1キロ以上離れた「恋の峠」近くまで避難し、生き延びた。いわゆる「釜石の奇跡」である。


他方で、学校近くの「防災センター」は、標高が低く津波発生時の避難所には指定されていなかったのだが、多くの住民が「安全だろう」と考えて避難し、命を失った。



現在、驚くほどの規模で三陸地方の海岸を埋め尽くしつつある防潮堤は、「恋の峠」か、それとも「防災センター」なのだろうか。数十年に1度クラスの津波が来襲した場合には、多くが想定通り機能することだろう。しかし、コンクリート建造物、なかんづく塩害にさらされる海岸の構造物は、数十年の間に腐蝕する。将来の津波来襲の前に残骸となってしまうケースも出てこようし、今世紀末あたりには、莫大な費用のかかるその更新を、断念することになるかもしれない。


他方で近々にも懸念される弊害は、養殖漁業への悪影響だ。地下深く打ちこまれた基礎部分が豊富な地下水をせき止め、山の広葉樹林が育んだ栄養分の、海への還流が滞るものと懸念される。「人命に勝るものなし」と防潮堤を設けておいて、そのことが三陸の住民の生命線である魚介養殖業に与える長期的な打撃を軽視するのは、奇異としかいいようがない。だが諫早湾の締め切り堤防を頑として開放しない国の姿勢を考えれば、その発想は令和と昭和で何も変わっていないのだろう。日本の豊かな自然は、山で育まれた栄養分が川を介して海に還流する中で育まれているのだが、そのような環境の保守を不可能にしているのが、生態学の基礎知識に背を向けた旧態依然の土建行政だ。


経済面でも日本は「防災センター」頼みだ。膨大な震災復興予算は、結局のところは日銀に国債を買わせることで捻出されている。つまりは日本の信用秩序を崩壊させる巨大なリスクの上に、地元民も疑問視する過剰な土木投資が強行されているのではないか。


だが、釜石の復興スタジアム自体は、過剰投資ではないと信じる。大会後は仮設の観客席を取り払ってよりコンパクトになり、三陸鉄道の駅に近いラグビー専用施設として、合宿や大小の大会に使われる。継続的な利用促進には不断の努力が必要だが、地元の子どもたちがラグビー文化を受け継いでいく中であれば、それは頑張って歩き続ければ着ける「恋の峠」だろう。結局は「コンクリートよりも人」が、人間社会の継続を支える基盤なのだ。



2030年 農業の旅→ranking



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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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