雑穀には、キビ、アワ、タカキビ等があるが、当地周辺ではほとんど見かけない。
我が家では45年ほど前まで「キビ」という雑穀を作っていたようだ。というのは、毎年「寒餅」といって「キビ餅」を搗いていた。それは2月頃ではなかったかと思う。その寒餅(キビ餅)を包丁で薄く切り、ムシロに広げて屋根裏部屋で干していた。屋根裏部屋には西日がさすのでよく乾く。
よく乾いた長方形の薄い寒餅のことを「オヘギ」と言っていた。そのオヘギを「練炭火鉢」の鉄球(てっきゅう)の上に置いて焼くと、すぐに焼ける。これがその時期の「おやつ」だった。
オヘギは白い「モチ米」より、土色の「キビ餅」の方がおいしかった。しかしそのキビの生育姿や収穫期の姿は見たことがない。
春夏系の雑穀としてニワトリの餌によさそうだが、鳥(スズメ)の被害で収量は半分ほどになってしまうらしい。
鳥取県のレンタルヤギ
鳥取県は今年度、耕作放棄地の保全のために、ヤギを貸し出し、草を食べることで除草する「レンタルバンク」事業を始めた。レンタル料は2頭で1シーズン4千円。業者に草刈を頼むよりははるかに経済的だという。
岡山県でもこの事業を始めないのか電話をしたら、「今のところ予定にない」と言われた。こんな事業がなぜ全国的に広がらないのだろうと考えたら「牛」がいた。岡山県では「ヤギ」より「牛」を奨励しているようだ。確かに、牛の休耕田放牧は新聞でしばしば目にする。
現実には、牛よりヤギの方がかなりメリットがあると思う。
(1)ヤギは図体が小さいので扱い安い。
(2)牛は大きいので、慣れていないと、触るのは怖い。
(3)ヤギなら田んぼの「畦(あぜ)」が壊されないと思う。牛は巨体なので、田んぼの畦を壊してしまう。
(4)たとえば、朝、草刈地まで連れて行き、夕方、小屋に連れて帰る場合にも、ヤギなら「引っ張れる」が牛は「引っ張ろうにも引っ張れない」。
(5)牛は草刈地にくくりつけておくことは不可能だが、ヤギなら、草刈地に鉄柱などを打ち込んでくくりつけておくことが可能。
(6)ヤギなら女性でも扱えるが、牛はちょっと難しいと思う。
(7)ヤギなら小さな小屋でよいが、牛なら大きな小屋がいる。
(8)ヤギなら、朝、目的の草刈地までさっさと連れて行けるが、牛は時間がかかると思う。
(9)放牧すると「糞」や「尿」を肥料として利用できないように思えるが、放牧時間はせいぜい10時間、夜間は小屋で14時間だから、14時間もあれば肥料にする「糞」や「尿」は十分取れる。
(10)ヤギなら糞尿が雨とともに近くの川に流れ込んでも、川の生態系を汚染することはないと思うが、牛なら糞尿の量も多いので、川の生態系の汚染につながる可能性もある。
(11)ヤギの方が草の好き嫌いが少ないのでは?
(12)観光農園としても、牛よりヤギの方が触れるメリットが高い。
ヤギ2頭で1シーズン4千円のレンタル料なら、もし岡山県で始めたら、今すぐにでも導入したい。物置の半分ほどは空いているので、夜はそこに連れ帰ればよい。朝、放牧地まで連れて行き、夕方、物置まで連れて帰るなら、時間は朝と夕の合計で20分ほどと思う。
近くに休耕田(遊休地)はいくらでもある。歩いて5分もかからない範囲に1ヘクタール(100アール)ほどある。年に1~2回の草刈をするか、もしくは、年に3~4回の耕運をして、草管理をしているのが現状である。
もし、ヤギで草管理がしてもらえるなら、喜ばれるだろう。
自分の場合だと、野菜、ハーブ、ニワトリ、炭焼き(ドラム缶方式、今は炭焼きはしていない)に加えて、もしヤギがレンタルできるなら一つの「理想型」が完成する。
ヤギが三々五々、草を食んでいる風景を提供できたなら、集落内でもインパクトが強いと思う。多分、近所の家庭菜園の70代のおばさんたちが、「ちょっとヤギを貸して」と言って、自家の休耕田につないだり、しばし、ヤギと触れ合ったりしながら、癒しの時間を味わえるかも知れない。もし、地域の3軒ほどで協力してレンタルするなら、世話は3日に1度ですむ。
ヤギのレンタル事業を岡山県でも始めて欲しい。
もしこの農閑期に時間がとれれば、「にほんの里100選」に選ばれた岡山県境の「阿波」と、鳥取県境の西谷新田(智頭町)を見学して、智頭町のレンタルヤギを見学して、当地の温泉に1泊するという、夢のようなドライブを考えている。
しかし、牛を否定しているのではない。牛は子供の頃の懐かしい動物である。我が家では45年ほど前には、黒い牛1頭、ニワトリ20羽ほど、母豚3頭(1回の出産で子豚が10匹ほど生まれる)を飼っていたが、ヤギは一度も飼っていなかった。だからヤギのことは実際はよく知らない。
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