涙ぐむ自己紹介で子とわかり
年金へきれいに並ぶ長い列
生き伸びる命を包むオブラード
アルバムをぱたんと閉じて寝る失意
木枯らしよ騒ぐな蕗のそばは春
初春を地球を踏もう菌はゼロ
春闘のように女房は春の風邪
妻病んで桜の下の座をはずし
生きなんと苔はちっちゃな花をつけ
あじさいの心に添うた絹の雨
薔薇買って急ぐ男が憎らしい
小島には孤島に似合う波の音
あんなに優しかった人あれは風
大がかりで捜して欲しいかくれんぼ
花あかり眩しい人に手を取られ
もう葉桜よすいすいと雲流る
眼帯に花散る音のしきりなり
秋桜やさしい声で呼ばれそう
海鳴りも風も小さな身を揺する
早く早く来て下さい褪せます島
Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
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