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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

邑久光明園  中山秋夫さん



友逝けりむぎわら帽子置き去りに




病む島に正月が来るおもしろさ




訃の部屋の片づけられている寒さ




すぐ返す笑みをつくれず麻痺の顔




球根を植えて春への糸電話




ときを止め有線友の訃を告げる




死に顔のやさしい鮭を選って買う




療友ともの死を数えてやがて数えられる




前略も後略もなく五月鬱




かくれんぼう終った偽名もやす
荼毘だび










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邑久光明園  中山秋夫さん



俺に似たうろたえぐせの蝿がおる




冬の蝿ここより行き場無いものを




有線が豚逃げてると春の園




或る噂二転三転春終る




全景に火葬場のある島の園




見えぬ眼へつつじの花を食べてやる




風景の貯金小出しにして憩う




いま在るを良しとし生きる冬いちご




沈む日へ祈るしかない生をもつ




対岸を社会と呼んで病み
ぼう



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サンマの煮物




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塩サンマがなかったので、生サンマを買った。

鍋に醤油、砂糖、酒、みりんと150CCほどの水を入れ、煮立ったら半分に切ったサンマを入れ、生姜をすりおろし、弱火で20分煮て出来上がり。



ダイコンとニンジンの蒸し煮

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熱したタジン鍋にバターを入れ、ダイコンとニンジンの輪切りを入れ、シイタケのスライスを入れ、ニンニク醤油のニンニク2片を薄切りして入れ、煮立ったら極弱火にして20分、火を消して余熱5分で蓋を開け、大さじ2のポン酢を入れ、強火で1分混ぜて出来上がり。



シュンギクの卵とじ

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鍋にメンツユと同量の水を入れ、みりんと砂糖を入れ、煮立ったらざく切りしたシュンギクを入れ、30秒ほどして溶き卵2個を入れ、弱火で4分ほど煮て出来上がり。



レタス

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作りドレッシングは、大さじ2の醤油、大さじ1の酢、大さじ1のみりんに、ゴマ油を少し入れ、生姜をすりおろした。






エダマメ

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コンニャクのちぎり煮


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コンニャクは手で適当にちぎり、塩をふってもみ、5分ほど置いて水で洗い流し、よく水切りし、熱したフライパンに入れ、弱火で5分炒め、ニンニク醤油で味付けし、七味をふって出来上がり。         


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邑久光明園  中山秋夫さん



冬の海承知で糸を切った凧




行く春へ手を振るだけの車椅子




りんごむく記憶の果ての俺の指




忘却に支えられての闘病譜




麻痺の手に計れぬ重さ小鳥の死




風鈴がほどよく鳴って闇ゆたか




見えぬ振り出来ぬ盲は聞かぬ振り




垂直に支えるめまい
独楽こまの無我




独楽の自我傾くことで身を支え




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邑久光明園  中山秋夫さん



何となく被告のように医師へ向く




断種への想い種無しぶどう手に




断種へのさかまく想い海荒れる





もういいかい骨になってもまあだだよ




放哉の咳聞く距離に小豆島






断種への自分ごろしの一行詩





断種への過去うずかせる葱ぼうず




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柿とカブのサラダ



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今日は出かけていて、帰りが遅くなり、家人が作った。

左は柿とカブのサラダ。市販のドレッシングで。

右は、カブの葉、カブ、練り製品、豚肉、卵の煮物。


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邑久光明園  中山秋夫さん


中山秋夫さんは10月17日に紹介させて頂きましたが、続きを紹介いたします。





介助風呂恥部をなくするまでに病む




これまでを狂わず生きている狂い




空っぽの一升瓶のように居る




癒えてなお許してくれぬ予防法




長い夜断種へ想いさかのぼる




生きているしるし尿器へ朝の音




哀しみを捨てに来たかと海笑う




しぐれ雲しばし山頭火とあゆむ




ようやくに痛み無くした荼毘の煙





中山秋夫さんの略歴
静岡県西郷村の農家に生れる。父は旅回りの石工。秋夫5歳の時、父親がハンセン病を発症。6歳の時父は草津の患者部落に。家族は離散、秋夫は名古屋の今池小学校、さらに叔父を頼って釧路へ転校。小学校を出て4、5年目で身体の一部に知覚がないのを知る。昭和10年大阪大学病院でハンセン病患者であることが判明。同年父宇平が楽泉園で死亡。その後病気を隠しながら溶接工として働くが昭和14年19歳で邑久光明園に入所。20年秋、結婚。翌年断種手術を受けるが、同年、急性肺炎で妻が逝去。25年再婚。38年完全失明したため自己表現の道を詩から川柳へ。53年1月妻他界。その後の10年間の作品を集成し個人句集『親子独楽』(平成元年)。他に句集『一代樹の四季』(平成10年)。


第一句集『親子独楽』のあきらめにも似た境地から第二句集『一代樹の四季』は理不尽への怒りに転じているのがわかる。『一代樹の四季』冒頭の自序には題名の由来について次の記述がある。
 「一代樹。これは私たちがこの療養所で、自分一代限りで終っていく、との意である。
 長い療養生活の中で入所者同士の結婚もあった。だが療養者が子を産むことは許されなかった。結婚の条件として、否応なく優生手術がなされ、子供を産めなくされた夫婦。らい予防法は患者を保護するものではなかった。一貫して行われたのは患者を施設に入れることによる隔離撲滅。国民からの排除。一代樹とは、そうしたものの代名詞として使ったのである。90年という長い歴史の中で、その一代樹が入れ代わり、死に絶え、そして今、残された一握りの高齢者の群れとなった」

 中山秋夫は岡山原告団長として2001年(平成13年)5月の熊本地裁判決の勝利から和解、補償法成立に至る経緯を見とどけ、2007年(平成19年)12月、この世を去った。
(ハンセン病文学全集9 俳句・川柳)から抜粋。


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大島青松園  塔和子さん


口紅のやや濃ゆ過ぎしと思ひつつときの間浮かぶ君の眼差し




でんでん虫が角長く出し憚るなき姿態を晒す八ツ手葉の上




四畳半に机を二つ並べ居り互ひに甘き夢を持ちつつ




陽盛りを車曳き居て噴く汗に吾が肉体の清きを信ずる




吾が留守の今宵を独り寝る
にシーツま白き蒲団のべおく

(塔和子さんの方が有名ですが、夫の赤沢正美さんも特に記憶にとどまっている歌人です)




美容師にカットされたる我の髪やや艶めきて床に散らばる




侵されて畸形に見ゆる鼻の先我の化粧は何の為にする




癩病みて島に来ているだけのこと縹渺として初夏の空澄む



以上で塔和子さんのご紹介を終わります。ハンセン病文学全集に載っている3分の2ほどを紹介させて頂きました。残りは、自分には理解できなかった箇所があり、割愛しました。塔和子さんの短歌はあまり掲載されておらず、大部分は詩です。

塔和子さんの詩は現代的と思いますが、技巧的な側面も目立つような気がします。代表的な詩はどれですかと聞かれると、すぐにこれだと言える詩が思い浮かばない。

自分にとっては、多くの癩詩人のうちの一人です。


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炊き込みご飯



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義母が来るというので、ちょっと気合を入れて炊き込みご飯とアラ汁を作ったが、体調不良とかで来なかった。

無水鍋に洗った3合の白米を入れ、2カップと150CCの水を入れて20分ほど置き、醤油と酒を各50CC入れ、ダシの素を少し入れて混ぜる。

サトイモ、キクイモ、ニンジン、シイタケを適当な大きさに切って入れ(混ぜない)、よく煮立ったら極弱火にして30分、火を消して余熱30分で蓋を開け、小口切りしたネギをふり、混ぜて出来上がり。

無水鍋(吉岡鍋)は「万能鍋」である。無水鍋で作る炊き込みご飯がおいしい。





鯛のアラ汁

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鯛アラは解凍して15秒湯通しする。鍋にニンジンとダイコンの千切りを入れ、ダシの素を入れ、煮立ったら弱火にして鯛アラを入れ10分煮て、味噌を入れ、小口切りしたネギを入れ3~4分煮て出来上がり。



生姜焼き

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生姜焼き用の肉は解凍し、ざく切りして15秒湯通しする。

熱したフライパンに油を入れ、ニンニク1片の粗みじん切り、ピーマンとタマネギのスライスの順に炒め、最後に豚肉を入れて2分ほど炒め、火を消して醤油、オイスターソース、生姜のすりおろしを入れ、強火で1分炒めて出来上がり。



レタス

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大島青松園  塔和子さん





手のひらをひらくとなんにもない

無いことは無限に所有する可能性をもつことだ

幸も

不幸もこの手がつかむ

いつも

無にしていよう

無にしている手の中へは宇宙の翼

もっとも大きな喜びが乗る

私は無から生まれた

だから無はふるさと

いつもはじまるところ

朝の光よ瞬間瞬間の生の切り口よ天に吊るした希いよ

私が

手のひらをいつまでも無にしているのは

あなた達のため

ああそして

私の手のひらは生きるよろこびでひとときふるえ

すべてを無にして

また差し出すのだ








記憶


呼びおこそうとすれば

いつでも新しく浮かび上がってくる記憶よ

鼻や目や手が覚えている

古い一枚の画を

再び描き出すのにはなんの苦労もいらない

人に記憶という

こんなすばらしいものを与え給うたものよ

私はその神聖な鏡を

日毎夜毎磨いてくもりないものにする

だからいつでも

目の前に起こっていることのように

鮮明に私の記憶は描き出される

そして

春の日溜まりに

思い出を飼いならしてうずくまっている老人のように

うっとりと

それを眺めて暮らす日の多いこの日頃を

ふっと

考える







触手


あの夜もしあなたが一錠の避妊薬を飲んでいたら

私は産まれなかった

この明るみにいるものは

あなたの受胎ののっぴきならない結果

母よ

あなたの夜の満干は

私の生のよろこび私の生の不安

受胎の前の混沌につるされて

ゆれる不安とよろこびは

巻付く高さをさがす朝顔のふるえる触手そっくり

あの夜もし

あなたの夫が不在だったら

私は産まれなかった

父の精液の中を浮遊して流れたであろう私が

いまここにいる

肉体として形になったばかりに

あなたを母と呼び父を父と呼ぶ

いじらしい関係ははじまって

皿に盛られた赤いトマトを美味しいと思い

服を着るとき似合うか似合わないかなど

気をもみ

ペンを持って考えにふける私

このすべてのありなれた日常が私で

手足や顔をさすってまぎれもない存在の実体に

改めて会う

そしていまは

遠いふるさと土にかえったあなた達に

まきつくすべのない片方の触手を伸ばすのです







夏の夕暮れ


私は

何回言ったことだろう

お母さん私はあなたを誰よりも好きよ

お父さんあなたを誰よりも尊敬しているわと

それは何回言ってもたりなかった

でも夫よ

大人になった私が

あなたを誰よりも好きというのは大へんなことだった

それは

あなた以外のすべての男性を外に置くことだったから

あなたを選んだとき

いくらかの人の安心といくらかの人の失望がつきささった

でもひとりを選んだよろこびが

どんなにたくさんの痛みにも堪えられるものだということを

知る日があった

いま

夏の夕暮れの庭に向かって

こんなにもおだやかに

互いに

互いの中に存在している私達

もう誰よりもあなたが好きなどと

むずがゆく

不遜な言葉は

いらなくなって



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大島青松園  塔和子さん


釣り糸

電光のように魚が食いつく

このときこそ糸の私はぴいんと張り

ひたすら魚の意のおもむくところを追究する

広い海の中で出会ったたった一匹の魚と

釣り糸の偶発的な出会い

どんなに多くの魚がいようとも

糸の先につながる魚と

魚につながる糸とただ一点にしぼられ

いま在ることを互いに知らしめられる

魚が深く入れば糸も深く入り

逃げようとすれば

するすると老獪に糸ものび

もはや逃れることも逃すことも出来ない

関係になってしまったひとつの課題

やがて互いに疲れきり追い切って

海の面にひき上げられ

糸と魚の共存ははずされる










闇の神聖の中できわだつ声

凄絶に遂げる生を謳歌するのか

無我夢中の世界にいて

産みおとした新しい生命の傍に

かたくなるのか

無慈悲な自然

あるいは優しい自然は

そうして生命を絶やすことをせず

死に絶えるものから生きかわるものをひき出す

おまえ達は

一年という周期に立ち会わされた

自然の食欲であり排泄である

悲哀か賛歌か

虫が鳴いている

人は鳴いているとしか表現できぬが

いのちの声がきこえてくる









言葉の核


美しいものを美しいと

暗いものを暗いというだけ

このたんじゅんなことを表すために

どれだけ労して言葉を選ぶことか

どうしてどんなふうにどんなにといつもくる問い

それはあらんかぎりの言葉を集めても

説明できないのに

いつでも不用意に全くかんたんに

明るいと美しいと暗いと言うのだ

そして私はそれらの言葉のそばでうずくまり

もやもやとした周辺を彷徨しどもり

あるいは肉付けを少ししたりする

けれどもやはりどう言えば

やんごとない人の裸を見るように

まばゆい言葉の核をつかむことができるのか

手にあまる宿題を課せられた生徒のように

すくわれがたいものを見る











詩集 手紙 雑誌 ハサミ ペン 辞典

ざっと見渡しただけでも

書きこみきれないほどのものを

このせまい机の上だけにでも置いていて

わたしはいまそれらと共に灯の下に在る

けれどもこの夜更け

灯を消したら

私の存在すら他からは見えない

闇は

この多くのものを

一度にその大きな倉の中におさめる

ああ自然が作る闇の倉にくらべたら

人はどんな大きな倉を作ってもかなわない

私達は灯をつけなければ

その闇の倉に貯蔵され

互いに互いを目でたしかめ合うことも出来ないで

ころがされ

闇が扉をひらいた朝はじめてすべては

生まれたときのように新鮮に

現れるのだ



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初物 ダイコン・カブ



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初物のカブ(約500g)は酢漬けにした。カブは半月切りして塩をふってもみ、1時間ほど置き、しんなりして、水が出てきたら、固くしぼりながら瓶に入れる。

1カップの水を鍋に入れ、沸騰したら火を止め、カツオブシを入れ20分ほど置き、即席の出し汁を作った。

鍋に酢150CC、出し汁1カップ、醤油小さじ1、みりん小さじ1、蜂蜜を入れて点火し、溶けたら冷ます。瓶に注ぎ、ユズ果汁を入れて出来上がり。一昼夜経過したら食べれる。




タジン鍋(大根ステーキ)

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初物のダイコンはダイコンステーキにした。熱したタジン鍋にバターを入れ、1センチほどに切ったダイコンとニンジンを入れ、スライスしたシイタケを入れ、煮立ったら極弱火にして25分、火を消して余熱5分で蓋を開け、大さじ3のポン酢を入れ、強火で水分を飛ばすように2分ほど混ぜて出来上がり。

「うまうま☆大根ステーキ(バタポン味)」を参考にした。




豆腐の煮物

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鍋に醤油、蜂蜜、酒、みりんを入れ、薄切りしたニンジンとキクイモを入れ、スライスしたシイタケを入れ、カブの酢漬けで使った出し殻のカツオブシを入れ、半カップの水を入れ、煮立ったら極弱火にして豆腐を入れ、25分煮て出来上がり。



エダマメ
   
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生姜の甘酢漬け3パターン
   
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ショウガの甘酢漬け」が左のコップ。

この季節ならでは、簡単だよ!生姜の甘酢漬」が中央の瓶。

生姜の甘酢漬け」が右の瓶。


この3パターンのうち、おいしかったのを次回にまた作る。


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大島青松園  塔和子さん



金魚


与えられた金魚鉢の中で

与えられた餌をもらって

生きるための知恵も労働も

運命を切りひらくために必要なものは

すべて放棄した

牙も毒も持たずにいられるこのさびしさ


器の中のなまぬるい水につかってから

あまりにながいので

幸せがなになのか

自由がなになのか

健康がなになのか

もう麻痺してしまってわからない


 ふと

口ばしを鉢にぶつけて

生きていたと

鮮烈に五体をはしるものを知る

 金魚はときおり

 開けられた窓の向こうの空を見ながら

かすかな声が自分を呼ぶのを

きいたような気がして

ひくひくと

身をふるわせる









あなたは盛りの美にまよい

あれか

これかと

もたされた選ぶ自由の重たさと

選ぶことの恐ろしさにたじろぎながら

一本を選ぶ

私を選んでくれたあなたよ

あなたは私にどんな美を見つけて選んだのか

その美が

いつまで保たれると思って見たか

選ぶあなたは最も美しい私を選び

私は美の中に

終りのみにくさを抱き合わせて売りつける

私を抱きかかえているあなたよ

あなたの腕の中で

一瞬

一瞬

おとろえている私を

どのようにして

とどめることができるのか

かがやく花は

しのび寄ってくる暗い眠りを

おしころして

かすかにふるえている







食事


白いものがゆぶゆぶしている袋の先には

管がついていた

「それなにするもの」と私が聞くと

「食事」と看護婦は無表情に答えた

そして

病室をのぞくと

その管を

鼻に突込んでいた

 口から食べることのできない人

 それはぶかっこうだ

 病人が動くと

 胃袋のようなその袋も

 かすかに動いた

 それはなぜかユーモラスだ

白いものがすこしずつへってゆく

命のひきのばされる光のように


冬の残照が

かすかにほてって

この

厳粛で神聖な食事は

静かに

はこばれている









この味のない私の生に

ただひとつ

味付けするものがある

それは欲望だ

欲で体がふくらむとき

私は生き生きする

深い井戸から汲み上げる欲なら

どんな欲でもいい

 食欲 物欲 性欲 

 知識欲 創作欲 名誉欲

欲よ

私はお前をこんなに好きだ

お前がないところには

実がない味がない私がいない

お前でいっぱいになった脳髄で

存在の深奥から

光る言葉をかくとくしたら

これほどの満足はないだろう

私の欲よ

 私をいろどれ

 どんな暗いところにいても

 ただひとつ

 もえる炎はお前

欲で活気のみなぎる頭

欲で華麗な心を身の内にもって

その先に

コップ一杯ほどの

希望を見つめて歩いていられるなら

私は

どこまで歩いて行ってもいい




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大島青松園  塔和子さん




人が死んだら

なぜと問うのに

生きていることを

なぜ生きているのかと問わないのだろう

人が泣いたら

なぜと問うのに

笑ったら

なぜ笑ったことを問わないのだろう

生よりも不幸な死はあるか

死よりも不幸な生はあるか

泣くよりもつらい

笑いはないか

そんな笑いよりも楽な涙はないか

人が問うのは

平均的なことがらを越え得ない

人が見過ごすのは

見なれた風景にあてはまるとき

裏返しになった一枚の画は

いつまでも

裏返しになったまま

誰も気付かずに通り過ぎる

そして

人はいつも

傍らに

気付かずに通り過ぎた

何枚かの画をもっていて

埋葬をすませた後などに

ふっと

気付いて

取り出して見たりする







生鮮食料品


剽軽な蛙から蛇

獰猛な鰐

執念のとかげまで

首を切られ

贓物を抜かれ

くるりと皮をはがれた姿のまま

なおその肉をくねらせながら

生鮮食料品として竿につり下げられている

熱帯の街の露店


時が停止したように

皮をはがれつづける爬虫類の

原始の世界への異様な昂奮の中で

あの沼の思い出のつまった目も

密林の焼けつく陽も

彼等の中の遠い王国

それは

首のない爬虫類にはもうない

吊り下げられた

何本かの

白い肉の間から

買物籠を下げた

女のブラウスが

あざやかな原色を

ちらつかせているだけだ








今はまだ

もうすこし年がいったら

この未完の物体が仕上がるのかも知れない

あるいは

夕焼の中の芦原のようになるのかもしれない

仕上がってほっとしたいとも思うし

ひっそりと枯れていたいとも希う

またしばらくは

静かにほほ笑んでいるような

薔薇色の夕焼雲のように在りたい

ああ

それから

安らかに眠りたい


もう少し年がいったら

そして今はまだ

なまぐさいものが好きだ

欲望や希望にゆれる波でおぼれそうな海

自らを引き裂きひきさき糧とする日常

愛や裏切りや

自負や喪失を重く沈めて

発酵している

この狂気のような現実が

なぜともなく好きなのだ







見なかったものは


蕾をもった不安だ

いまに盛りへと急ぐから

花が咲いた不安だ

いまに散るから

その人を知った不安だ

いまに慕わしさから逃れられなくなるから

出合った不安だ

いまに別れが来るから

形が出来上がった不安だ

ビーナスの像も

安ものの花瓶もこわれるから

生命も出合いも形も

もともと無かったのだから

無の深さが口をあいてのみこむ

私が見

私が慈んだものは

私ひとりで見なければいけない

私ひとりで堪えなければいけない

無にかえるときの不安を

桜並木の春の道

でも

私の見なかった多くの花々については

私は咲いたことも知らず

散ったことも知らず

それらの花は

不安もしあわせも

私の手に

持たせてはくれなかった


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タジン鍋



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時間がない時はタジン鍋が助かる。

タジン鍋の下敷きにレタスを置き、ナス、ピーマンを適当に切って置き、ニンジンの薄切りとシイタケのスライスを置き、15秒湯通ししたサケを置き、ニンニク醤油のニンニク3個を薄切りして置き、胡椒で味付けし、煮立ったら弱火にして15分、火を消して余熱5分で出来上がり。ポン酢で。



春菊の卵とじ

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先日作っておいしかったので、また作った。

鍋にメンツユと同量の水を入れ、みりんと砂糖を入れ、煮立ったらざく切りしたシュンギクを入れ、溶き卵2個を入れ、弱火で3~4分煮て出来上がり。ご飯にかけて食べる。
農家のレシピ 玉子丼」を参考にした。



ハーブティ

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左からセイジ、アップルミント、タイムで、沸騰したら火を止めて入れ、3分蒸らし、取り出して出来上がり。

ジョウゴでペットボトル小3本に移し、冷蔵庫で保存する。水筒代わりに田んぼへ持参する。

 


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大島青松園  塔和子さん


柿のたね


この楕円形の小さな一粒の柿の種の内側は

芽吹くときを見つめて這いのぼっている

終わった果実から渡されたバトンを

芽吹く二枚の葉に渡すまで

自らの姿を内深く秘めて

命の根元からきこえる

いぶきのような力強い声をききながら

未来へ向かう意志を強くして

土を恋う

つづく一筋の命の証人

芽吹く命のための

一粒のこの種は

さいげんもなくつづけている

リレーの途中を

熱い命に息づきながら

  土に芽生えることができるか

  焼却炉に消えるか

  人の手に運命をにぎられて

  いま食べ散らされた

  テーブルの上で光っている







幸福


私は汚れているから美しいものを恋う

かわいているからぬれた優しさを恋う

私が汚れているかぎり

美しいものを見ていられる

かわいているかぎり

ぬれた優しさを感じていられる

だから美しくなりたくない

ぬれた優しさになりたくない

そのそばにいるだけでいいのだ

目を細くし

よだれをたらし

それらを見ている

となり合っていて

手のとどかぬ

その距離こそ

崇高な輝きだ

美よ優しさよそれら

私の恋人たちよ

私はあつく恋うものであることによって

誰よりも幸福なのだ







脱皮


裸木のように

すかっと

無垢な姿を大地の上に投げ出して見たい


蜘蛛の巣に落ちた虫の

荒荒しい抵抗が

粘質の巣の糸にますます深くめり込んでゆく

あの暗いあがきを

ふてぶてと眺めている運命の

毒蜘蛛の巣の

不気味な柔軟性を蹴飛ばしたい


その清冽な跳躍の姿勢を

裸木のように大地の上に

放り出したい








ある怠惰

忘れた 忘れる 忘れよう

忘れられる 忘れられる 忘れられた


通り過ぎた風のように

肌に残る感触は

消え去りはしないのに

みんな

すまして忘れたという

それでいいのかしら

でも忘れたという言葉があるのだから

利用する方が便利だ



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大島青松園  塔和子さん



嘔吐



台所では

はらわたを出された魚が跳るのを笑ったという

食卓では

まだ動くその肉を笑ったという

ナチの収容所では

足を切った人間が

切られた人間を笑ったという

切った足に竹を突き刺し歩かせて

ころんだら笑ったという

ある療養所では

義眼を入れ

かつらをかむり

義足をはいて

やっと人の形にもどる

欠落の悲哀を笑ったという

笑われた悲哀を

世間はまた笑ったという

笑うことに

苦痛も感ぜず

嘔吐ももよおさず

焚火をしながら

ごく

自然に笑ったという








水溜り


目が覚めると

水たまりができていた

その水たまりを

振り返りもしないで

ひょいひょい渡って行く人があった


私は

不器用でとても渡れない

いつも水たまりで足をとられ

ぬかるみは

私をひきずり込もうとして

不気味な音をたてた


それでも

盲いた人は

水たまりのあることにさえ気付かず

全く無頓着に歩いていた


思い思いの

         

心の深さをうつして

不思議で

危険な水たまりがあった









名前


私の名よ

私というかなしい固有名詞よ

私は

私の名によって立証され

どこまで行っても

私は私の名前によって

私であることが通用する


四畳半の部屋の中で

しばしば呼ばれ

しばしば返事をする

親しく小さな名前よ


故郷の村境の小道から

亡命した私の名前

ああしかし今も

私の名は

閉ざされた小さな世界の中で呼吸している

私の影のように

やっかいで愛しい名前よ


私がいると名前も有り

私が立ち去ると名前も消える

はかなくやさしい名前よ


忘れられたり現われたり

私が所有する唯ひとつの私自身

それがなければ私ではない

馬鹿くさく滑稽で

激しい存在の立証


小さな部屋の中で

しばしば呼ばれ

しばしば返事をする

小さく親しい名前よ






 
秋の鳥

青白い炎のような

うすい氷のような


風はハッカ


海はラメの布


空は青い敷物

天使の羽

一輪のひまわり


そして

天地の間を切裂く一羽の鳥

このすてきな秋を

天へもとどけず

地へも落ち得ず

ああ

あれは

どんな過酷な神の

被造物なのだろう



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炊き込みご飯



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3合の白米を洗って無水鍋に入れ、2カップと150CCの水を入れ、酒と醤油を各50CC入れ、ダシの素を少し入れ、シイタケ、ニンジン、サトイモ、キクイモを適当な大きさに切って入れ、煮立ったら極弱火にして30分、火を消して余熱30分で蓋を開け、ネギの小口切りを入れ、混ぜて出来上がり。水加減もよかった。

きのこの炊き込みご飯」を参考にした。



エダマメ

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サンマ

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レタス

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手作りドレッシングで。


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大島青松園  塔和子さん


遠くからの声


母から母へ

  母から母へ

はるかにはるかに流れて来た私が

人の繁みの中へ

ほうり出されている

繁みの中の個として

もうどこへもつながっていないのに

どこか遠い遠いところから声がする

私は今日

次の世代へ渡すべくあらされている母性


あなたよ

あなたの父性も

その父のその父の

はるかなはるかな始祖から

あなたへ流れて来た血を受けとめてあるのか

私たちらい夫婦は子を産まず

遠くからの声を

うさぎのように耳を立てて

聞いているだけ

流れをせきとめて立つことの

重たさが

透明にしみる一瞬を










あそこは暗かった

あそこで食べたのは

木の根の汁だけ

あそこは長かった

もう明るみに出る日はないかと思った

なんと明るいのだここは

思い切り声を出して暮らせる日が来ると

あの長い年月

考えられもしなかった

大勢の仲間と

好きなだけ声が出せる

声が出せることがこんなにすばらしいことだとは

知らなかった

あそこでは

言いたいことがあっても

じいっとがまんしていた

声を出しても

回りからふさがれたものだ

ああ

太陽をいっぱい受けて

愛し合って

産んで

祈って

ここは緑と光の楽園

あの暗かった季節に

こんなすばらしい日が訪れるなんて

いかなる摂理によるものだろう

三日の命だってかまやしない

いまは

生きている感動にふるえる目を

かっと見ひらいていよう










風紋


いつも

幸運が

顔を少し近づけた頃に

風が消したので

風紋があるだけ

風紋たちはささやいた

  小学校しかゆけなかったね

  自分の作品に

  親からもらった名前も記せないね

  病気はなおっていても

  病名が悪いから

  なおったと言って祝ってもらえないね

風紋のささやきに焦られて

私は立つ


偏見と差別の風

ひっそりと沈黙した砂たち

生産のない砂漠

風紋ができる条件が

いつの場合も

そろっていて








五月


花々が野山を飾り

海がやわらかい色に変貌し

風が羽毛のように頬をさすってゆく

この明るい世界は

這い出すとかげ 飛び交う蝶 肥えた猫

農耕にいそしむ男

針を運ぶ妊婦

洗濯物を未来に向って干す女

人は

彼方からくるものに

眉間を輝かせ

生きている喜びにはち切れそうに見えるが

  花は極限を

  とかげは生きるために他の生きものをねらい

  そのとかげは猫にねらわれ

  妊婦は難産の

  男は疲労の果てのうすい毒を

みんないちように

あらがいがたい

自らの負う黒いかげを宿していて

見つめていると

明るさの底がじんわりと透けてくる




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大島青松園  塔和子さん



食べる


子供の頃は待ってくれた

かまどのそばで

針箱のそばで

いろりのそばで

父や母や兄弟が


するめを噛むと

ちょっとしょっぱく ちょっと甘く

その家の匂いがする

そこは

海辺の村だ

いまは誰も待っていてはくれない

父死に母死に

兄弟は巣立って行った

からっぽの家では

終日うす暗い闇が立ちこめ

物音もしないだろう


私はなおも噛む

海辺の村とちょっぴり甘い記憶の残るあの家を

するめはぴちょぴちょ口の中で

音立てながらすこしずつちぎれる

私の記憶もちぎれてはひとつ鮮明に浮き上がり消え

また

別の場所が浮き上がり

ひっそりとした秋の部屋で

ひとり

ぱりっとするめを裂き口に入れる

かくれて餌を食べる猫のように

こっそり

私はこころよい記憶を食べている







口紅


口紅は

金の金具に納っている気取りやさん

手に取ると南天の実のように愛らしく

私の胸底をくすぐる

その華やかな紅と油質の固体をもったおまえは私のすべてを知っている

だからおまえといるとき

こんなに安心していられるのだ


うずうずと胸底にたぎる熱情も

刃物のように青澄んだ理性も

脂肪のように粘り着く執念も


おまえはみんな知っている

とりわけ鏡に対う私のうぬぼれを

許してくれるのはありがたい

だからこうしていると

私は夕べの空のような安心感を呼び戻すことが出来るのだ


乾いた私の病痕をうずめて

唇に艶めくおまえの

その華やかな紅の明るさ

やっぱり許していてくれる

たったひとつの嘆きを

不逞な美への執念を







舞台


夢をくれた方は目覚めもくれた

甘さをくれた方は苦しさもくれた

愛をくれた方は憎悪もくれた

美しさをくれた方は醜さもくれた

生をくれた方は死もくれた

その方はみんなくれた

片方だけにしなかったから

人間はみんな知り

みんな味わい

みんな成すことができた

でも理性という根締で

ちょっぴりしめておいたのはさすがでした

あなたの思いの中で

自由と拘束の間を綱渡りする人間は

怪物にもなれず

天使にもなれず

ふらふらと危うげに

幕の下りるまで

舞台にいます








ある姿勢


風は愛撫を

鳥は言葉をはこんでくれた

人はただ眺めて通った

いつもながめ方はちがっていた

親しみだったり

愛だったり

情けだったり

憎しみだったり

軽蔑だったり

いろいろな人が

いろいろな目でながめて行った

私はいつでも黙って立っている樹だった

立ったまま

眺める人をながめている樹だった

人は樹の前では

いつも眺められていることを忘れていた

樹になっていると

何でもよく見えた

樹の前だと人はありのままの姿を見せたから


雨が降れば雨に降られ

風が吹けば風に吹かれるまま

私は黙って立っている樹だった

そして

誰も

私が樹になっていることを

さして気にもとめなかった



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豆腐の煮物



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鍋にニンジンの薄切りとシイタケのスライスを入れ、醤油、蜂蜜、酒、みりんで味付けし、煮立ってきたら八つ切りした豆腐を入れ、極弱火で20分煮て出来上がり。



シュンギクのおひたし

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シュンギクはざく切り(太い茎は縦に薄切り)して30~60秒茹でて冷水にとり、水気をしぼる。ミョウガの甘酢漬け1個を粗みじん切りして入れ、ポン酢で味付けして出来上がり。「春菊のおひたし」を参考にした。

 



生姜焼き

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生姜焼き用の肉を衝動的に買った。時間がない時にいいだろうと思って。

3分の1を使い、15秒湯通し、少し切った。増量にタマネギ半個を使った。

熱したフライパンに油を入れ、タマネギのスライスを炒め、豚肉を入れて1分半ほど炒め、醤油を入れ、生姜をたっぷりすりおろして入れ、1分炒めて出来上がり。

   
  


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大島青松園  塔和子さん



食欲



それは

何本の植物の

何匹の獣の

何尾の魚の命

胃袋は死体埋葬所である

しかし

この厳粛な葬儀は

私の生を支える

生命の始発点で

美しく料理された野菜や肉に箸をつけるとき

私は

ただおいしいと思っているだけ

食欲という愛しくも楽しい欲に幻惑されて

いけにえの痛みに思いを至らすこともない

これは

何物が私に与えた麻薬だろう

そして

生きている限り

私は毎日

自分の生への祝福のうちに

葬儀をすます

血のしたたる肉と

光をはじく野菜を

口の端につけながら








生きて


浮かんでいた波がしょうしょうとひくと

くらげはぺしゃんこになって

渚にとりこのされた

ひとりになって

自分をあまやかしてくれた優しい波のことや

もはや

その波がなくては生きてゆけなくなっている

自分のことを考える

砂にまみれてぶかっこうなこの時間

波が満ちて再び

自分を包んでくれたらなにもかも忘れて

やっぱりあのように

ふわふわとおよいでいたいと思う

それ以外にどんな生もないのだ

すきとおった自分の中の海を熱くあつく

見つめながらくらげはどうしようもなく

ひとりであった








いちじく


なまりのように重い暑さを扇風機がかき廻している

厚ぼったく茂った木々の間で

蝉がじんじん鳴いている

ひまわりはこくびをかしげたままいくぶんしおれている

夏は日々うれて

私は思い出の夏をその夏の上に重ねる

小川のそばのいちじくを手にいっぱい

もぎとって食べた夏

海でしぶきを上げながら泳いだ夏

少女の日の健康な夏は光り

そしていまそのさまざまな

思い出の夏を見ている

畳の上に

どさりと体をよこたえたまま



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大島青松園  塔和子さん


青い炎のように


あの声は

去年の虫の子供だよ

そして

ずっとずっと太古からつづいているものの流れだよ

私達がいまこうしているのと同じに

幼虫



そして 

あんな美しい声の主になる

いま虫は

虫である証しに鳴いて産んで

ただひたすらに虫であろうとするだけ

何代も何代も虫であった

何代も何代も虫である虫が

何も言わずにすごした時間をになって

いま青い炎のように鳴いている







さわらないで


私は

はじける前の木の実

咲く前の蕾

孵化する前の卵

さわらないで下さい

どこへさわっても  

なにかが始まってしまうのです

はじまる前のぼうちょう感の中で

いつまでも

夢を見ていたい

始まってしまったら 

あとは

とめどもなく

上昇し華やぎ溢れ

終わるだけ

その命の果てを思うとき

うっすらと涙さえにじむのです








水仙


ゆらりと咲いた水仙

切るとじくから花へ

真直ぐにゆきわたっていた水が

切られたところで勢いあまって

したたる

水は花になったり

野菜になったり

果実になったり

さまざまな姿をもって

現れる

しかしこの奥深い水の変身

こまやかな芸の

神秘に思いをめぐらせて

見るものがあろうか

切った水仙を

花瓶の水に移すと

水仙は

その成り立ちの水を

音を立てるように吸い上げ

清楚な香りを波ように

ゆっくりと広がらせて

活けた私をたじろがせる








不出考


枯れている芝生

珊瑚樹がしんから赤い実をつけて

ぼけの花がぽっかり咲いている

陽がうらうらと照り

小鳥がときおり鳴く

すべてが

一枚の画の中におさまった色彩のように

互いに互いをひき立て合った朝

私も

この中の一景として加えられ

出来上がった画の中を

いま出て行こうとしている

しかし

本当は朝昼夕べ

自然の画く豊かな色彩の中にいつでもはめ込まれていて

どこへも

出て行くことは出来ないのだ



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初物 シュンギク



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初物のシュンギクは卵とじにした。

シュンギクはざく切りする。鍋にメンツユと同量の水を入れ、みりんと砂糖を入れ、煮立ったらざく切りしたシュンギクを入れ、続けて溶き卵2個を入れ、3分ほど煮て出来上がり。「農家のレシピ 玉子丼」を参考にした。



サトイモとイカの煮物

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サトイモは生臭いものとよく合うらしい。

イカが安いと思って買ったら、頭としっぽだけで、胴は入ってなかった。

イカは15秒湯通しする。鍋に乱切りしたサトイモを入れ、醤油、蜂蜜、酒、みりんとスライスしたシイタケを入れ、カツオブシを少し入れ、ひたひたに水を入れ、煮たったら弱火にして13分ほど煮て、イカを入れ4分ほど煮て出来上がり。



ピーマン炒め

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豚肉100gは15秒湯通しする。熱したフライパンに油を入れ、ニンニク1片の粗みじん切り、豚肉、ピーマンの細切りの順に炒め、ニンニク醤油とオイスターソースで味付けして出来上がり。



ハーブティ

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左からセイジ、タイム、アップルミントで、沸騰したら火を止めて入れ、3分蒸らし、取り出して出来上がり。今日はステビアがなく、普通のハーブティ。



エダマメ

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沸騰したら小さじ1の塩とエダマメを入れ、4~5分茹で、湯切りして出来上がり。



キュウリの塩もみ

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レタス

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手作りドレッシング

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酢大さじ1、醤油大さじ2、みりん大さじ1、ゴマ油少々を入れ、生姜1片をすりおろした。



手作りポン酢


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醤油70CC+酢50CC+みりん30CC+レモン果汁50CC=1カップ(200CC)のポン酢の出来上がり。「753ポン酢」を参考にしている。
  


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大島青松園  塔和子さん



塔和子さんは、10月15日に「妖精 師 胸の泉に 崖の上」を紹介しましたが、引き続き紹介させて頂きます。

塔和子さんは「癩詩人」として極めて著名だが、塔さんの特徴は、「癩病」という病気のことをほとんど詩に反映させず、癩病以外の事を詩にしている。



人の林で


花に蜜がなければ蜂も寄ってこない

海に魚がいなければ釣り糸をたれはしない

地下に水がなければ掘りはしない

花も海も地面も

あるがままにあって

ゆったりとしている

関心がないものは見つめることさえしないが

その魅力を知る者は

どこからともなく寄って来て

貪婪に摂取する

ああ人の林で

意識することなく

蜜をもつ花になりたい

豊かに魚を住まわせている海になりたい

質のいい地下水を

たっぷりふくんでいる地面になりたい

作意もなく誇張もなく

見せかけもなく

花が花であることにおいて

海が海であることにおいて

地面が地面であることにおいて

おのずからもつ

魅力を

身のうちにもちたいのだ
 






それは

生き作りの鯛

ぴいんと

いせいよく尾鰭を上げて

祝いのテーブルの上で

悠然と在りながら

その身は

切られ

切られて

ぴくぴくと痛んでいる

人々は笑いさざめきながら

美しい手で

ひと切れ ひと切れ

それを口にはこんでいる

やがて

宴が終わるころ

すっかり身をそがれた鯛は

すべての痛みから

解放されて

ぎらりと光る目玉と

清々しい白い骨だけになり

人々の関心の外で

ほんとうに鯛であることの孤独を

生きはじめる






行く

人も獣も

鳥も魚も

みんな行く

私も行かなきゃあと

ぼんやり思いながら立っている

どこへ

餌をさがしに

とどくとも思えない夢にとどくために

みんな必死に走っているのだ

まっさきに捕って腹を満たすために

目を輝かせて走っているのだ

私も行かなきゃあ

走っているもののすごい力に押されて

ゆらゆらしながらそう思う

なにか

ちょっと

それたところで

しらじらと立って



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栗生楽泉園  武内慎之助さん



植毛せし眉にオリーブ油塗りもらいわが正月のたしなみとする




亡き父の齢となりて元旦に形見の羽織着てこもりおり




棕梠の花いまだ蕾と言いながら迎えてくれたり
桜戸丈司






落葉松の芽吹く小枝を持ち帰りわが唇にふれしむる妻は




いちはやく
加藤三郎かけつけて慰めくれしああ友よありがたし




ベッドの上に一月の風吹いて来るついに思うわれ生命の極みに立つ





武内慎之助さんの略歴
1908年3月1日京都府に生まれる。1938年栗生楽泉園に入所。1950年失明、1953年より詩作を始める。詩集『裸樹』(1958 私家版)。短歌もあり、『慎之助歌集』のほか、栗生楽泉園の合同歌集『盲導鈴』、『山霧』、『冬の花』などに残っている。1973年4月5日死去。



武内慎之助(慎之介)さんの略歴
明治41年3月1日京都府生まれ。バルナバ医院を経て昭和13年7月栗生楽泉園入園。昭和25年失明。「高原」短歌会所属。詩集『裸木』(昭和33年)昭和48年4月5日没。『高原歌集』(昭和12年)『陸の中の島』(1956年)『盲導鈴』(昭和32年)『山霧』(昭和41年)『冬の花』(昭和53年)『ハンセン療養所歌人全集』(昭和63年)『慎之助歌集』が出版されたと記録にあるが不詳。


上は詩に書かれていた略歴で西暦表示であり、下は短歌に書かれていた略歴で和暦表示になっていた。和暦表示に馴れているせいか、西暦表示だと和暦に換算しないと、自分の場合、よくわからないことがある。

武内慎之助さんは詩、川柳、短歌を残されている。「岩の家」という詩が特に記憶に残っているが、川柳も短歌もすばらしい。


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シイタケの甘辛煮




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ナメクジのはったシイタケがあり、シラスと一緒に煮た。

シイタケはスライス、シラスは15秒湯通しして鍋に入れ、醤油、蜂蜜、酒、みりんで味付けし、大さじ2の水を入れ、煮立ったら弱火にして12分ほど煮て、水気がなくなったら出来上がり。「お弁当にぴったり♪椎茸の甘辛煮」を参考にした。





サツマイモの煮物

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無水鍋に大さじ3の水を入れ、乱切りしたサツマイモを入れ、大さじ2の醤油と蜂蜜を入れ、ユズ半分の果汁(先週の水曜日に初収穫した)を入れて混ぜ、よく煮立ったら極弱火にして25分、火を消して余熱5分で出来上がり。「簡単♬甘いさつま芋の煮物♡」を参考にした。



レタス
   
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市販のドレッシングで食べかけたが、おいしくなかったので、ウスターソースで。


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栗生楽泉園  武内慎之助さん



長からぬ齢と知れどいま一と目会はむと思ふ故里の母に




曇るるまで惜しみたりけり明日は去らむ我が故里の夕焼




息つまり倒れし妻を抱へつつ非常ブザーを鳴らしつづくる




呼吸せむと無理に顔をかきむしる妻をなぐさむる術もなかりき




耳遠く目の見えぬ吾を襲いきて蚊はほしいままに血を吸いてゆく




癩われに関わりもなく弟の葬儀終りて百日過ぎし




引越の小さき荷物一つにも名札つけるなり人に頼る身は




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栗生楽泉園  武内慎之助さん



我つひに両手の感覚失へば唇にまさぐり靴はかむとす




唇にて盛飯をさぐりくらふとき犬に似たると人ら云ふなかれ




盲ひわれ耳の鼓膜の破れゐて冷たき空気脳に沁み入る




この吾は耳しひ目しひ茶を飲むに触覚にたよりつつ顔を近づく




盲ひ二人の部屋の軒下に掛けてもらふ郵便受箱をさすりて居りぬ




骨堂にぬかづく時にわが友は朴の葉を膝に敷きてくれたり




貧しき刻みキャベツの漬物にて我と妻との銀婚の今日




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鯛のアラ汁




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IMG_9752_20161022183100a9e.jpg IMG_9764_20161022183035137.jpg 

鯛アラは15秒湯通しする。

鍋に水を入れ、沸騰したら鯛アラを入れ、ショウガ1片をすりおろし、酒を50CC入れ、再度煮立ったら弱火にして10分煮て、豆腐を入れ、味噌を入れ、3分ほどしてネギを入れ2分ほど煮て出来上がり。





即席 ナスの辛子漬け

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ナスは縦半分に切って5ミリほどに切り、辛めの塩水に浸す。

1時間ほどしてナスがしんなりしたら、水気をしぼり、大さじ1の砂糖をふりかける。

練りからし小さじ半分を大さじ1のみりんで溶き、酒と醤油各大さじ1を合わせてナスに混ぜると出来上がり。「即席 ナスの辛子漬け」を参考にした。

ナスが収穫末期で少し固い。最盛期ならおいしかったと思う。





ナスの味噌煮

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熱した鍋に大さじ1のゴマ油を入れ、乱切りしたナスを炒め、その後シイタケのスライスを入れ、全体に油がまわったら、ひたひたに水を入れ、調味料を少し入れ、煮立ったら弱火にして10分煮て、味噌をみりんで溶いて入れ、3分煮て出来上がり。



レタス炒め

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IMG_9744_201610221831304d4.jpg IMG_9758_2016102218303142f.jpg 

炒めてもおいしいレタス品種の外葉を炒めた。熱したフライパンに油を入れ、ニンニク1片の粗みじん切り、ベーコン1枚の細切り、手でちぎったレタスの順に炒め、卵1個を溶き入れ、ニンニク醤油で味付けして出来上がり。

レタスから水分が多く出た。次回はさっと湯通しして水気をしぼってから等、工夫の余地あり。

  





オクラの薄切り

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1分茹でて冷水にとり、薄切りして、カツオブシと醤油で。


エダマメ


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp
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セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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