春水
うすみどりの 野の涯より
うすみどりの 野の涯まで
うらうらと つらつらと
流れ来て 流れ去り
流れ来て 流れ去る
ももいろの
・・・明り
ささやくように 羞うように
かんばせに照り あしもとに輝き
ちらちらと ゆらゆらと
流れ来て 流れ去り
流れ来て 流れ去る
ももいろの
・・・ひかり
水のせおとは 貴女の声に似て
水のきららは 貴女の微笑みに似て
流れ来て 流れ去り
流れ来て 流れ去る
ももいろの
・・・かげり
見えながら 消えていく
消えながら 見えている
貴女の面影
貴女の笑窪
いくつもいくつも
うたかた生れて
流れ来て 流れ去り
流れ来て 流れ去る
ももいろの
・・・こころ
ほのぼのと水の匂いが
さらさらと水のいのちが
野の花を濡らし 私を濡らし
流れても流れても・・・
流れは果てぬ
春の野川の
・・・一すじの夢