
午後3時10分、山への上り口付近で、うなるようなミツバチの羽音が聞こえた。
最初、何の音だろうと思ったが、すぐに「ミツバチの分蜂」だと気付いた。
空を見上げたら、木の上で無数のミツバチが乱舞している。
いつごろ分蜂を始めたのか、正確な時間はわからないが、多分2時半が過ぎてからだろう。
とにかく、この群がどこに落ち着くのか、見届けなければならないと空を注視していたら、ほどなく、高い木の上の三又になった枝にかたまり始めた。
最初は逆富士山型の小さい山と大きい山の2つに分かれて塊になっていたが、すぐに、画像のような1つの塊に落ち着いた。
こんなに高かったら、竹竿の先にくくりつけた網ではとどかない。
もし羽音に気付いてなかったら、まずわからないような、木や竹の茂った高い場所である。
その間は5分ほどだったので、山に上がるのがもう少し遅かったら、分蜂はあっても、どこにかたまったのか、わからなかっただろう。

他所から来た分蜂なら、もっとうれしかったが、うちの群からの分蜂だということが、巣箱を見てすぐにわかった。分蜂群はこの巣箱から5メートルほどの高いクヌギの木の上の方にかたまった。
この巣箱も30分ほどの間にいつもの出入りに戻った。だからタイミングよく山に上がって来なかったら、分蜂があったことにも気づけなかった。
何で今日なんかに分蜂したのだろう。明日は雨の予報なのに。実際、夜半前から雨が降り出した。
ミツバチには明日の雨は当然わかっていただろうし、雨量は少ないということもわかっていたのではなかろうか。そうでないと、太い木の枝の下といえども、雨にあたる確率は高いだろうから。
分蜂したら、いきなり他の巣箱に入ることは少なく、いったん近くの木の枝に塊を作ってから、定住場所に移るらしい。
どうかこの分蜂群が、25設置した待ち受け箱のどれかに入ってくれますように。
どれにも入ってくれなかったらショックは大きい。
多くの探索蜂の多数決で新居は決まるらしい。明日午後には雨が上がるので、早ければ明日の1~3時の間に新居へ移動するだろう。3時が過ぎれば明日の移動はない。
明日は集落の行事があって昼過ぎまでは役の仕事(順番で今年は班長)があるので、新居への移動に立ち会うことができない。
もし塊が消え、25の待ち受け箱のどれにも入ってなかったら、他へ移ってしまったことになる。
何としてもゲットしたい。
今日が初の分蜂だったのかどうかも正確にはわからない。分蜂のタイミングに出くわさず、他の場所へ移動した可能性もあるから。
とにかく、この分峰群が25の待ち受け箱のどれかを選択してくれることを願う。

子ヤギが「捕まえれない」というのは、ちょっとの間のことで、杞憂だった。容器にコゴメを入れて母ヤギに与えようとすると、すぐに子ヤギがやってきて親子の競争になる。

母ヤギが特有の鳴き声を発すると、2頭が同時に走り寄って乳房に吸い付く。1回に飲める時間は「たった30秒」ほどで、すぐに母ヤギが後ろ足をはねて子ヤギから離れる。
