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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

ミツバチにはまりまくったこの1年

     

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急こう配の山の斜面を上り下りすることは、きついというより楽しい。

葉タバコ跡地のこの里山に毎日上がってこれるのは、まさにミツバチのおかげである。

ミツバチは現在、巣門から全く出入りはしていない。それでも毎日上がってくる。


20年間、1年に数日、冬の農閑期に上がってきて草刈りをするだけだったこの山が、ミツバチのおかげで再生した。

今後はほとんど毎日、生きている限り上がってくるだろう。

1日1回の斜面の上がり下りは足腰のためにもよい。

18年後、75才になっても普通に上がれる健康体でいたい。


4月20日に初めてミツバチをゲットしてからこの1年、ミツバチにはまりまくってきた。

そしてミツバチは葉タバコの思い出を復活させてくれた。

そして里山歩きの楽しみも発見させてくれた。

そして里山歩きは癒しになった。

そして里山歩きは古の人の息吹まで感じさせてくれる

そしてこの里山は自分の故郷の山であリ、過去、現在、未来を思わせてくれる。


30代前半の、先が見えない失意の日々を思えば、今はまさに雲泥の感がある。

35才になった春、5月の連休のある日、突然、農業が脳裏にひらめいた時から、人生が180度好転し始めた。

それでも2年ほどの準備期間が必要だった。スタートした時は37才が目前だった。

人は10年、家は20年、国は30年と言われる。

自分が変われなくても、周囲の状況が変わってきていた。 

それでも20年近く、そんなに大過なく過ぎてきたが、2年前のヤギの導入からまた岩が動き始めた。援農、直売所出荷への変更、ミツバチ、山仕事。


変わり始めたと思ったら、自分のリタイアの年齢も近づいていた。

ベーシックインカム(年金)をもらい始めたら、農業の第一線(出荷農業)からは退く。

63才くらいからもらい始めようと思う。

第一線を退いてもニワトリとヤギを飼い続けることはもちろんだが、ミツバチ三昧の日々になると思う。これら3種類の家畜は1日1回のエサやりと見回りは必須であるし、自給野菜を作るにも電柵は必須で、ゲートの開閉も必要であり、必須事項は1項目であっても4項目になっても手間(負担)はあまり変わらない。

もちろん、これだけだったら農作業も含めて1日に2時間ほど作業をすれば足りるので、残りの時間もたっぷりある。


2群しか越冬中でないのに、今後ミツバチがどんどん増えていくような強気な発言と思われるかもしれないが、たとえこれ以上に増えなくても、常時1群でも保持できれば、上がってくる楽しみは保てれる。

         
   
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葉タバコ跡地の上の山も草(笹)を刈ったので、合計で20アールほどになった。画像のクの字になっている木を中心に、その周囲にも14箱ほど置ける。クの字の木は「分蜂群が集まるフェロモン木」にしたい。


ミツバチのおかげで里山のぐるぐるまわりができる。
 
里山の急斜面の上り下りは健康にもよい。

里山歩きは古人や故人との対話でもある。  

里山歩きは癒しであり、哲学の小道でもある。
      
      
      
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新たな幕は2年前、お前たち2頭が開いてくれたのだ。

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国のパイロットファーム事業

今年もあとわずかになった。

何となく物思いにふけっていたら、予定していた年末の仕事がほとんどできなかった。

年賀状も書けなかった。

いるのなら籾殻を早くとってと言われていたのに、これもできなかった。これは年明けそうそうに頂く必要がある。

明日から寒波が来るようだが、残りの2日間で家回りの片づけと草取りをする必要がある。今日の夕方、墓掃除だけはすませて榊(サカキ)を備えた。

ヤギにもニワトリにも正月はない。年末年始は卵の需要が多いので、エサを通常の2倍与えた。2倍と言っても一般的にはこれくらい与えるのが普通だろう。

韓国では口蹄疫が拡大して、殺処分がすでに47万頭を超えている。殺処分の対象になると、おさまってから新たに導入するのはかなり勇気がいると思う。それでも畜産家は畜産で生きていくしかないのが現実と思う。


島根県浜田市で大規模農業団地が完成した。牧場跡地に2006年度から第1期開発4ヘクタール3区画、08年度から第2期開発16ヘクタール15区画を整備していた。同団地には既に個人、農業参入企業など7経営体が入植し、本格出荷に向けて準備を進めている。(農業新聞12月29日)

30~40年ほど前に国が全国各地で整備したパイロットファーム事業で入植した農業者たちの、その後の現実はどうなっているのだろうか。

農業を効率や採算の観点から第2次、第3次産業のように大規模化しても、自然や気候が相手だから、計算通りにはいかない。日本には日本の気候風土に適した規模や農法があり、それは大規模農法とは相いれない。日本に適した農業形態は何百年も続いてきた「有畜小農複合自給型農業」である。時代がいくら変わっても、この農業形態を増やしていくしか、日本の農業と国土と風景を維持していく方法はないと思う。 
 

戸別所得補償のような農業補助金には農業の未来が感じられない。かといって大規模農業者に支援を集中するのも反対である。大規模農業者(法人)によって日本の農業が支えられるとは全く思わない。大規模農業は日本の風土には適さない。

農業支援の在り方を根底から変える必要がある。

TPPに参加したら日本の農業が壊滅するとは思わない。かえって国産は脚光を浴びるだろうし、各地の直売所は繁盛するだろう。加えて外国の農作物がたくさん入ってきて選択肢が増え、低所得者は多大な恩恵を受けるだろう。

仮に農業が壊滅しても、多くの低所得者が恩恵を受けるならその方が大切である。

TPPに参加するしないにかかわらず、日本の農業は害獣によってすでに追いつめられている。崩壊の時間が多少前後するに過ぎない。


莫大な補助金によって高齢者農業を保持して、いったい誰の利益になるだろう。

若い大規模農業者(法人)を支援して、いったい誰の利益になるだろう。

農業の莫大な補助金は、働く場所のない若い世代に「生きていくための基礎年金」として支給した方がはるかに望ましい。


農業に参入したい時に簡単に参入できるような支援

日本的風土に適した農業形態に支援

いざという時に逃げ場になるような自給自足型農業

雇用の確保ではなく自営の確保としての農業

大規模農業を排して、そんな小規模自営農民を年金型支援でバックアップすることこそ、未来の農業につながる。


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山のぐるぐるまわりは、古の人との対話

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画像の左隅に水路が見えるが、来年のサトイモには池の水(稲作も畑作も10アール3千円)を引かせてもらおうと思う。渇水で失敗したので今年は大好物のサトイモを一度も食べていない。買ってまで食べる気はしない。

画像の右隅にも水路があり、こちらの水路は今の時期でも少量の落ち水が流れているが、池には渡り鳥が来ているので、ニワトリの飲み水は家から持参している。

ただ、鳥インフルエンザはあまり心配していない。鳥インフルエンザにかかっているのは大半が身動きできない「ケージ飼いのニワトリ」である。

鳥インフルエンザよりヤギの口蹄疫の方が心配だが、これも野生のイノシシやシカが死んでいたとは新聞に一度も載らないので、こういう飼い方だとまず発生源にはならないと思う。

画像に見える池の土手の草刈りは、ダムの上にあるもう一つの池といっしょに1月下旬に行われる集落総出の作業だが、この草刈りが10月下旬頃にあると、その後は草の伸びは少ないので5月頃まできれいな土手が楽しめるし、見晴らしがよくなって害獣の出没も減ると思う。いつか土木委員さんにお願いしてみようと思う。



正月が近づいているので、少しは部屋の掃除をしたり家回りの片づけをする必要があるが、年賀状を書くのと同じく、どうも気が乗らない。

どちらかと言えばきれい好きなのに、農業を始めてから掃除や片付けが全然できなくなった。ブログを始めてからは尚更それがひどくなった。土曜、日曜もないのが大きな原因。

それでも、人目につきやすい家の外回りだけは31日までにはしなければ。

玄関のお飾りは今年もパスすることにした。毎年スーパーで980円のを買っていたが、何かばからしくなって去年から止めた。玄関先には「紅白の葉ボタン」を置いて、少しは正月らしくする。



掃除や片付けはそっちのけで、今日もまた、巣箱置き場をシミュレーションしながら、午前も午後も山の中をぐるぐるまわりした。

ある段階に達しないと、次の段階は見えてこない。巣箱置き場もそうだった。持ち上げるのがちょっとえらいが、もっと山の上に進出することにした。葉タバコ跡地の上に同じくらいの広さの親戚の葉タバコ跡地があるのは子供の頃に見て知っていたが、その上にまた同じくらいの広さの跡地らしきものがあった。境界には石を並べてあり、等高線状に削った後が未だに残っているので、いつの時代か人が手を加えた後が見えて、何やらうれしくなる。

山の中のぐるぐるまわりは、当地に生きた古の人との対話でもある。


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されどわれらが世代

  
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朝日新聞は年末には、今の時代やその年を象徴するような特集を組む。今回は「弧族の国(死んでも独り)」だった。

駐車場に止めてあった軽自動車の中から男性の遺体が見つかった。死後3か月。Sさん(享年55才)。

4人兄弟の末っ子だったSさんは1970年に地元(秋田県北部)の中学校を卒業するとすぐに上京し働き始めた。

一つの職が長続きしない弟に困りながらも、兄は連絡がつくように携帯電話を買い与えていた。

東京に住むその兄が昨年3月に亡くなった。

Sさんの生存が最後に確認できたのは、兄の死の約1年後の今年4月9日。郷里の近くに住む姉に電話をかけた記録が残っている。「ご飯を食べるお金にも困っている」。姉が「私も困っている」と答えると、電話は切れた。司法解剖の結果によると、軽自動車の後部座席で生涯を終えたのはその直後。病死だった。

生活保護を受けている姉は「弟を迎えに行きたいけれども、逗子まで行くお金も力もない」と話した。神奈川県警はもうひとりいる姉にも連絡を取ったが、「縁が切れているので」との返事だった。

Sさんの遺体は今、逗子市郊外の遺骨安置所に眠っている。



Sさんとは同じ世代である。

一つの職が長続きしない弟…なんか自分と似ている。

Sさんと比べて自分が恵まれていたのは、転職を繰り返して働く場所がなくなった時に最終的に農業がインスピレーションできたこと、家賃を払う必要のない家があったこと、経済的にすぐに困るという状況ではなかったこと。

Sさんも、転職を繰り返し、働く場所がなくなり、家賃が必要であっても、助けてくれていた兄が死亡するまでは何とか生きていくことができた。

最後の「砦」だった兄の死亡で生きていく術がなくなった。


生活保護の申請・・・うまくあしらわれて門前払いになっただろう。弁護士に相談したり、しかるべき場所に相談に行けるのはごく少数と思う。

友人や知人…貸してくれても1万円以内だろう。友人や知人も状況が似通った人だろう。

中高年になると、アルバイトでもなかなかない。

この国の「生存のための安全網」は、すでに底が抜けてしまっている。



我が家も他人事ではない。

2人の娘は20代後半であるが、結婚をするかどうかわからない。

今のところ、相手がいる風でもない。

1人は介護の仕事をしているので、少々転職しても需要はあるだろう。何とか1人でも食っていける。もう1人はアルバイト的な仕事なので収入は多くない。

築60年が来るが、住む家はある。修理をしていけば最終的に120年くらいは住めるだろう。

農業とは全くかけ離れた生活をしており、興味もないようだが、いざとなったら食べ量の野菜はどうにか作れるようになるだろう。

結婚をするしないの選択にかかわらず、経済的にも職業は維持していかなければならない。

職業さえ維持できれば、友人が少なくても、私的な楽しみが少なくても、生活は何とかまわっていく。

田舎でも農業で食っていくのは大変なので、何らかの職業につく必要がある。



自分に適した職業を中学、高校あたりから考え続けてきたが、結局、手に職はつけれず、結果的に農業になった。

経済的にはひどい低空飛行だったが、家人の定期収入で何とか生活はまわってきた。

努力が足りなかったのではなく、農業で稼ぐ能力が少し足らなかった。

もともと集団を好まず1人でする仕事が好きであり、群れるより孤独(1人の時間)を好むが、長く農業をやっていると、いつの間にか仲間もできる。

地域の人に会えば挨拶くらいはするが、その程度である。



運、不運もある。

非婚、非正社員、働く場所がない、経済的困窮。

少子高齢化の現在、人は何らかの理由で「気が付けば1人」という現実に直面することが多くなるだろう。

子供の人生はどうなるかわからない。一代のうちにはいろんなことがある。親と子はまた違う。



ただ、1人だったら、都会の空間はあまりに寂しいような気がする。

何の趣味も取り柄も話す相手もいなくても、田舎なら自然そのものが癒しになる。

働き口がない、帰る家もない、頼れる人もいない、そしてたった1人、経済的にも逼迫している…これは都会、田舎にかかわらず、今は日本全国どこでも頻発しやすい状況にある。こんな時、老若男女にかかわらず、一定額のベーシックインカムがあるなら、死の淵からは救われる。 

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来年度予算案

 
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寒い朝は、野良着に着替えて田んぼに出るまでがおっくうだが、田んぼに着いたら寒さなど全くこたえない。寒ければ小走りで動けばよいし、朝は凍っているので山仕事から始める。山仕事で上がったり下りたりしているうちに、あっという間に身体はぬくもる。

ヤギが寒かろうと、1メートル四角のヤギ小屋の板と板の隙間をうめるためにガムテープを張ったら、翌日にはもうガムテープがなく、半分ほどは地面に落ちていた。残りの半分は食べてしまったかも?

ヤギは賢いと思えることも多いのに、これとは逆に、ゴム等の口にすべきでないものを平気で食べることがある。

ヤギは冬毛になっているから全然大丈夫とUさんが言ってくれるが、板厚は12ミリしかない市販の野地板を使用している。巣箱の板厚は15ミリで建築用の板である。暑さ寒さに対して3ミリの板厚の違いは大きいような気がする。



来年度予算案

来年度の予算案で、国が使うお金の総額は過去最大の92兆4千億円ほど。それに対して、入ってくる税金は40兆9千億円しかない。足りない分をまかなうため、国の借金である新規国債を44兆3千億円も発行する。予算の半分近くを借金に頼る異常な状態だ。(朝日新聞12月25日)
 
経済成長で税収増を目指すとともに、消費増税の議論も待ったなしだ。(朝日新聞12月25日) 

いったい、いつまで経済成長したら気がすむのか。

経済成長と幸せは反比例する。経済成長すればするほど資本主義下の富は偏在して、多くの貧しい人は次の代も貧しさを引き継ぐ。


農業予算案

「2011年度予算案、農林2兆2712億円、36年ぶり低水準」、こんな見出しが農業新聞の第1面に踊っていた・・・逆に見れば36年以上にわたって、これ以上の予算が注ぎ込まれてきたにもかかわらず、こんなに衰退している。だから、いくら補助金をつぎ込んでも効果はないというか、ほとんど効果のないことばかりに使われてきた。 



集落営農の戸別補償加算措置に反対

集落営農法人化に一律40万円の加算措置。 

耕作放棄地などに畑作物を作付けた場合に加算する再生利用加算は、平地が10アール2万円、条件不利地が10アール3万円とした。最長5年間交付する。 


集落営農では効率の悪い田畑は放棄されると思う。補助金目的で作付しても補助金がもらえなくなったらすぐに放棄するだろう。

そのため、農地を広くしたりする圃場整備にまたカネを要求する。
 
集落営農では、絶えずおしゃべりになるか、休憩ばかりするのではなかろうか。 

集落営農では誰か特定の農業者に一任する方向になるのだろうか。

それとも集落外の大規模農業者(法人)に一任する方向か。

外部からIターンで集落に移住してきて、その後に集落営農が始まると立場はどうなるだろうか。

集落営農は環境よりも経済を優先せざるをえないと思う。

集落営農は旧ソ連のソフホーズやコルホーズに似て、利益を出し続けることは難しいだろう。

集落営農の補助金はソフト事業ではなくハード事業ばかりに使われるのではなかろうか。たとえば道普請、大型機械の購入、圃場整備等。

集落営農→下水道、個人営農→合併処理浄化槽のような構図を感じる。個人営農の方が効率的で費用もかからない。個人営農を増やす施策の方が大切である。

個人で収益を上げれないのに共同ですればもっと収益は上がらないと思う。

集落営農は補助金とセットになっていて、補助金がなくなったら消滅に向かう。    
 


資本主義に搾取されない生き方

相変わらず朝日新聞は、現政権をぼろかすに書いているが、それなら他にどんな政権の選択肢があるだろうか。前政権などまっぴら御免である。

「改革の熱意しぼむ政権」と書いてあるが、足を引っ張られるばかりしているのだからそれも当然。しようにもできない状態。


雇用増ではなく自営増を政策として考えるべきだ。効果の全くない農業補助金は廃止すべきだと思う。集落営農補助金や中山間地補助金はその最たるものだと思う。農業も資本主義の大海原で弱肉強食にゆだねるべきだ。

雇用(自営)と、環境(里山の自然)と、農業(災害防御機能や風景価値)と、生きるための最低生存権の保障(生活保護や失業給付)の4つを同時に解決するのがベーシックインカムと思う。

ベーシックインカムで最低限の生活が保証されるなら、富の偏在もどういうことはない。

ベーシックインカムがあるなら消費税が12~15%でも問題はない。

ベーシックインカムで「頑張らない生き方」も多少は可能と思う。現在は資本主義に搾取されているので、生きていくために壮絶に働かざるをえない。

50年前に比べて、はるかに経済成長をしているはずだが、逆に生活は極めて厳しくなっている。時間にも追い立てられ、ライフライン料金は毎月4万円以上に高止まりし、働く場所は椅子取りゲームになり、新卒でうまく就職できなかったり失業すると、滑り台のように落ちてしまい、多くの人は這いあがれない。だからこそ、資本主義と無縁に生きる自給自足主義を可能にするベーシックインカム(現役世代の年金、1人80万円ほど)が必要であり、世代間格差をベーシックインカムで取り戻さない限り、若い世代の不利益は永遠に是正されない。


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そこに竹林があるから

  
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山仕事(援農してもらった山仕事)の6回目。今日は風が強かったので、焼却はせずに竹林整備だけにした。

クリスマスイブだからといって、農作業には何の関係もない。もちろん、土曜、日曜も農作業には何の関係もない。

Uさんも、キリスト教徒ではないからと言われるので、年内最後の山仕事を今日することにした。


竹がカネになるわけでもない。

竹を農作業に利用するわけでもない。 

竹林を整備しても、田んぼの日当たりがそれほど変わるわけではない。
 
竹林の石垣が見えるようになって、風景が少しよくなるだけ。

竹林の石垣の上に巣箱を置いても、ミツバチが入る保証はない。

竹林を整備しても後継者もいない。


それでも竹林を整備したいと思った。

一人ではとてもする気が起きなかったが、幸い、援農をしてもらえる。 

一度伐採すれば、その後の整備は毎年少し手を入れるだけでよい。

というか、今はイノシシが筍を食べて、伐採すると竹は再生しづらいので大事な竹は残す必要がある。


竹の伐採には結構時間がかかり、目に見えてはかどる作業ではない。

竹の伐採には危険も伴う。

竹を伐採すれば、その2倍を要する焼却時間がかかる。


あまり意味のない竹林整備か。

そんな暇な時間がよくあると思われるか。 

40年以上にわたって、ほとんど手が入っていない竹林であり、

今、竹林整備をしたからといって、40年後はまた元のもくあみになるかもしれない。 

整備した竹林も、57才なので後20年ほど風景が楽しめるだけだろう。

それでもできる状況にある今しておきたいと思った。

数年前まではこんな余裕はなかった。農業収入に直結する動き以外は極力避けてきた。


一昔前なら、竹林整備は冬の農閑期の仕事の一つだった。竹を農作業に利用することが多かったから。

荒れていく竹林

誰も入らなくなった竹林

利用価値のなくなった竹林

竹林所有者も好きなように使えばいいと言ってくださる。

多くの時間を費やして竹林整備をする理由は、
(1)イノシシとの緩衝地帯をもう少し広くするため
(2)石垣を毎日見て古の時代を感じたい
(3)石垣は巣箱の置場にもなる
(4)シイタケの原木置き場にも適する
(5)竹林に覆われていた椿も復活する

ただ、経済につながるとは思えない。

それでもするのは、そこに竹林があるから。 


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山仕事は里山遊び

昨日、あんなことを書いたせいか、オンドリに思いっきり足を蹴飛ばされた。いまだに痛い。

今日のイノシシ肉はタマネギと炒めてあった。「どうやったらこんなに柔らかくなったん」と聞くと、強火でさっと炒めて、その後、鍋の蓋をして蒸したと言う。


今日は山仕事三昧の一日だった。新たに下草を刈ったり、木を切ったりした。葉タバコ跡地の上に、同じく葉タバコ跡地の親戚の山があり、そこの草刈りもしたので、合計で20アールほどの原っぱになった。

巣箱や巣箱を置くブロックや黄色のコンテナを山の中腹まで持ち上げるのはちょっとえらいが、ミツバチの住処としては適するし、鑑賞や見回りのための山上りは健康にいいし、見晴らしもいい。

草刈りが2倍に増えたが、1年に1回すれば現状は保てれる。

来春、山桜が咲くころの第1分蜂が楽しみである。分蜂はいきなり「待ち受け箱」に入ることもあるが、いったん、近くの太い木に団子になって止まることも多いので、分蜂団子を捜し歩き、網で捕獲する楽しみもある。どんな場所がいいか教えてもらって「分蜂板」も5か所ほどに設置する予定である。

ミツバチがいったん箱に入れば、2週間に1回ほどの巣虫掃除(台座掃除)と、スズメバチ用ペットボトル捕獲器の設置くらいで、後は見回りの楽しみだけである。

蜜量が5~10倍であろうとも、明治になって日本に入ってきた西洋ミツバチに興味はない。数千年の昔から各地の里山を根城にして、半径3キロを行動圏にしてきた日本ミツバチには自然の息吹を感じる。

当地に果たしてどれくらいの日本ミツバチが生息し、どれくらいの巣箱がキープできるか、4~5年のうちに結果が出るだろう。

50年前の葉タバコの思い出、眼下には子供の頃に泳いでいた池。

なんと恵まれた里山であろうか。山仕事は里山遊び。



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2週間の外泊のシミュレーション

1泊2日の外泊も簡単ではないのに、1月後半に2週間の外泊を想定してみた。

やっぱり無理だろうか。問題は3点ある。

(1)朝、夕の電柵の開閉
(2)1日1回のニワトリのエサやり、水替え、青菜やり、集卵
(3)1日1回のヤギのエサやり(青菜と雑木)

慣れていなくても、作業時間はニワトリに15分、ヤギに25分ほどの合計40分ほどで終わると思う。

世話代として1日2千円×2週間=2万8千円

家族は2人はフルタイム、1人は夜の仕事なので頼めない。

誰か、世話(アルバイト)をしてくれる人がいるだろうか。


ヤギには放牧場の外から、野菜(ハクサイ2個とキャベツ2個とダイコン2本)と、ドングリの枝2~3本と、1本の竹(笹)を投げ込んでもらうだけでよい。

世話人が見つかれば、雄ニワトリ2羽は凶暴なので殺処分するしかない。雄ニワトリがいると危険を伴うから。

タマネギ、エンドウ類、ナバナ等の大事な冬越し野菜もあるので、電柵を放棄するわけにはいかない。ほとんど誰も通らないが、村道なので、朝、夕の開閉が必要になる。


ヤギとニワトリの世話だけなら、比較的広い範囲で世話人を探せるが、これに加えて、朝、夕の電柵の開閉もとなると、できるだけ近い人が望ましい。

集落の人を思い浮かべたが、依頼できそうな人は1人しかいない。そしてその人が受けてくれるかどうかは全くの未知数。家畜の世話は女性には頼みづらい。


2週間の外泊など夢のまた夢なのだろうか。

ニワトリだけでも2泊3日は難しい。

ヤギだけでも2泊3日は難しい。

電柵だけでも2泊3日は難しい。村道をふさがないような電柵の張り方では、本体が2つ必要になるし、田んぼへの出入りが極めて不便になる。

ああ、やっぱり夢なのか。でも、もう少し考えて見よう。

1泊2日なら、ほとんど問題はない。


農業の第一線を退いて自給野菜だけになったら、電柵は外泊期間だけ放棄しても構わないが、ニワトリかヤギがいるとやはり2泊以上は難しい。

家畜がいると、別に世話人が見つからなければ、自分が死ぬまで、あるいは家畜が死ぬまで(いなくなるまで)拘束されるのだろうか。

それでも家畜を飼う意義があるかどうか。


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財政難で流れる下水道計画、自治体は浄化槽シフト

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見事な肉塊のイノシシ肉をもらった。もったいないので5回ほどに分けて使うことにした。

ダイコン、キクイモ、タマネギに、少し炒めたイノシシ肉を入れて炊いた。仕留めてすぐのイノシシらしい。上手に血抜きをして、このような肉にさばくのはかなりの技術がいると思う。

少し硬かったが、噛めば噛むほど味があった。イノシシ肉は今の時期が最もおいしい。他の時期に仕留めたイノシシ肉の活用は難しいのでは。

 

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前回の山仕事でできた消し炭を米袋に入れたら5袋あった。


   

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ヤギは竹の葉も食べる。右の画像は特に好物の木の葉であるが、木の名称がわからない。当地の雑木林にはこの木も多い。大きいのは太ももくらいの太さになり高さは6メートルほどになる。


2週間ぶりに巣箱の扉を開けて台座の掃除をした。一つの方の巣箱は巣くずが結構落ちていて、5匹ほどミツバチも死んでいた。巣くずには巣虫の糞が多いような気がしてちょっと心配である。もう一つの箱は巣くずもさほど落ちてなく、ミツバチの死骸もなかった。  

 


「財政難、流れる下水道計画」、「自治体、浄化槽シフト」という記事が今日、朝日新聞に載っていた。 

いままでにもっと下水道と浄化槽を比較して、その論点を取り上げるべきだったと思う。

下水道事業が市町村の財政を圧迫して危機的状況なのは自明のこと。

下水道事業による道路の陥没は今後、大きな問題になるだろう。

民家の点在する田舎では、下水道より戸別の浄化槽の方が低コストであり、完成までの時間も早い。

下水道管の「耐用年数」を考えると、どう考えても浄化槽の方が優れている。

下水道・・・各戸負担金は5%の19万5千円。そしてトイレの改修費用に100万円前後の支出が必要になる。下水道への連結は完成から3年以内と決められている。つまり、各戸の経済状況に関係なく、下水道が地域に敷設されると、3年内に120万円ほどの支出を迫られる。

浄化槽・・・家の新築とか子供の結婚を契機に、もしくはその時の経済状況を勘案して任意の時期を選択できる。環境省によると一般的な5人用の建設費は約84万円で、年間維持費は約6万円。
下水道料金は年間6万円ほどかかるので、維持費に関しては同じくらい。

国や地方の財政難を背景に、各地で公共下水道に代わり、世帯ごとに汚水を処理する合併処理浄化槽の導入が進めらている。整備コストが低い浄化槽の利点が買われたためだが、下水道を待望していた住民からは反発の声も上がる。下水道普及を進めてきた自民党に対し、浄化槽へのシフトを掲げる民主政権の背後には「新・族議員」の影もちらつく。(朝日新聞12月20日)

下水道を待望していた住民・・・?

住民からは「もっと山奥でも下水道計画が残る地域もある。なぜここだけ浄化槽なのか」と反発の声が続出。下水道整備が地区のイメージや地価に影響しかねないとの見方もあり・・・。 


下水道敷設の負担によって地方財政が逼迫してしまう前に、浄化槽か下水道かの問題を新聞はもっと定期的に取り上げるべきだったと思う。

下水道事業は水をめぐる環境問題というより、施工する業者利益の観点でなされたと思う。

浄化槽清掃業者でつくる全国環境整備事業連合会は07年から「自民政権では下水道優先の流れは変わらない」として民主党を支援。…こちらも業者利益の視点か。
 
いずれにしても、民家のまばらな田舎では下水道より合併処理浄化槽の方が優れていると思う。

(注)合併処理浄化槽・・・微生物の働きで各家庭の生活排水を浄化し、側溝などを経由して川に放流する。トイレの排水だけを処理する単独処理浄化槽に比べて浄化能力が高く、生物化学的酸素要求量の値を10分の1以下に抑える能力がある。 


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キクイモのレシピ

17日の農業新聞に「キクイモ」のレシピが載っていた。
(1)キクイモは厚さ5ミリに切って、丸1日天日で干す。
(2)味噌と砂糖を2対1の割合で混ぜて作った漬け床に、少しだけミリンを足す。こうすることで味に深みが出る。
(3)漬けて1週間して取り出すと、じっくりと味噌のうま味が染み込んだ漬物が完成する。

「厚さ5ミリに切って、丸1日天日で干す」というのがポイントだったようだ。これを知らなかったためにキクイモから水が出過ぎて、あまりおいしくなかった。それと1週間漬けるというのもポイント。自分の場合は一夜漬けだった。

このレシピでは「キクイモの皮をむかない」ことも大きな長所と思う。



トマトの受粉に活躍するセイヨウオオマルハナバチについて、国立環境研究所の主席研究員が「北海道ではハウスから逃げ出して野生化し、在来種を駆逐している」と報告。「農家は逃亡を防ぐネットを使うとともに、野外に出たセイヨウオオマルハナバチは生態的害虫と位置づけ、総合的に防除することが必要だ」と提言した。道東の別海町でも野外での生息を確認、住民が網で蜂を捕る地道な防除が始まっているという。(農業新聞12月18日)

こういう蜂も日本ミツバチの脅威になるのだろうと思う。

イチゴ農家が使う受粉用の蜂は問題ないのだろうか。
 
日本の陸生哺乳類の4分の1が既に外来哺乳類となっている。特に全国に生息し、繁殖力が強いアライグマを取り上げ、「3000頭生息していれば2000頭を捕獲しないと数は減らない」と指摘した。根絶のポイントは①明確な目標設定②実現性の高い研究③緻密な捕獲④専門家との連携⑤十分な資金⑥地域住民との合意形成ーを挙げた。(農業新聞12月18日)
 
イノシシ、シカ、クマについても、早く処置をしないと、次の世代が農業をできなくなるし、里山に入れなくなる。



昨日、今日と私事が多く、農作業が進まなかった。夕方、田んぼに行ったらオスヤギが脱柵していた。今回で3~4回目。思いつくところを補強してまわった。

脱柵するのは決まってオスで、メスはまだ1度も脱柵していない。

脱柵すると、なかなか捕まえることができない。広い放牧場があるにもかかわらず、脱柵するとよほどうれしいのか、捕まえようとすると走り出す。その間15分ほど。ニワトリに与えるコゴメでつって、やっと捕まえた。


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山仕事 5回目

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今日はチェーンソーは使ってもらわずに、竹切りをしてもらった。年末が近くなって「荒仕事」をしていて怪我でもしたら大変だし。

Uさんに尋ねたら、竹切りも注意して切らないと「はねる」から、危険性はチェーンソーと変わらないと言われた。

竹を切る時、竹挽きの鋸ではなくナタを使われる。切った竹を外に出すのが自分の役割である。

1人ですると竹切りはなかなか前に進まないが、2人でするとスムーズに進む。

それでも何年も切っていない竹なので、中が込み合っているし、枯れた竹も多い。我が家の所有ではないが、近所の所有者が好きなだけ切ったらいいと言ってくださるので、シイタケの原木とミツバチの「待ち受け箱」を置かせてもらう目的で切り進めている。もう一つ、竹やぶの中のりっぱな石垣が見えるようにしたいという目的もある。


竹を切っても利用することがあまりない。だから燃やすしかない。前回の山仕事で出た雑木といっしょに焼いた。 

山仕事では毎回、1時半~3時の1時間半で切り出し、ちょっと休憩して3時過ぎから4時45分頃まで1時間半を焼却にあてる。つまり山仕事の半分は焼却作業である。山仕事をしたら、それくらい焼くものが出る。50年前なら、木は家に持ち帰って土間の台所の焚き付けにしただろうが、今は使わない。

焼くことは1人でもできそうだが、1人でするとこれが結構時間がかかるし、煙を吸い込んで、そんなに楽ではない。去年は焼却は1人でしてえらかったので、今年は焼却もいっしょにしてもらっている。

焼却の最後の方は消し炭をたくさん取る目的で、燃えた炭火は引っかき棒で中心部から外に出し、順次、水をかけて消火する。そして下火になった時点で中心部も水をかけて消し、広げるようにすると、仮に炭火が残っていたとしても灰になる量は少ない。燃え残りの炭木は次回に焼く。

山仕事をすると、大量の焼却木や焼却竹が出るので、「伏せ焼き」のような、そんな悠長な時間は取れないし、伏せ焼きをするには長さ等を揃えるために、もう一度切る必要があり、ますます時間がかかってしまう。結局、現在やっているような方法で焼き、最後にうまく消して、少しでも多く「消し炭」を取るという方法が最も手っとり早いし効率的と思う。毎回、肥料袋に5~6袋は消し炭が取れるので、この方法でも3月のお彼岸頃までには随分たくさんの消し炭が取れる。

「伏せ焼き」や「炭焼き」をしても炭はなかなか売れないし、自給用で使うなら、そんなにたくさんはいらない。

本来こんな野焼きは、単に二酸化炭素の放出であり、かえって環境によくないかもしれない。 それなら山仕事はしない方がいいかというと、しなかったら荒れ放題である。

山仕事はUさんに援農してもらった日だけでなく、自分1人でもするので、実際の山仕事時間は今日の3時間半ほどを加えて、週に7~9時間ほど。他に仕事もあるので、山仕事に費やせる時間はこれくらいが限度である。 

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ミツバチになった気分

  
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小作料でもらった玄米を白米にするために、コイン精米所へ行った帰り道でデジカメ撮影。このあたりで田んぼから直線で2キロほど。ここは十分にミツバチの行動範囲。


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ここは田んぼから直線で500メートルほど。このあたりは、ミツバチにとっては庭先のようなもの。


  
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この低い山の中腹あたりに8アールほどの葉タバコ跡地があり、ここでミツバチを飼っている。
  
  
   
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放牧場を写すために立っている場所に、ミツバチの待ち受け箱を3箱ほど設置しようと思う。ここは北斜面で、巣箱は北向きに置くことになるが、昨日来られたべテラン養蜂家が、巣箱は南向きより、北向きや東向きがいいと、本に書いていることと正反対のことを言われるので、設置場所の選択肢に加えた。


そして今日も、里山をぐるぐる回りしながら、来春の巣箱(待ち受け)置き場を、ミツバチになった気分でイメージし続けた。

こんなことをしていたら、あっという間に時間が過ぎていく。

田んぼ全体を電柵で囲む時も、

ヤギの放牧場の範囲を決める時も、

同じように田んぼ周辺を何度もぐるぐる回りしながら決めた。不器用なので設置後の手直しはできず、場所決めが特に大事だった。

ミツバチの巣箱は、待ち受け箱に入った当日は動かせるが、場所を覚えた翌日以降は動かせないし、安住の場所と決めて選択しているので、できれば動かさない方がいい。

だから、どこに待ち受け箱を設置するか、ミツバチになった気分で選択しないと、ゲットはできない。巣箱の場所もさることながら、出入り口の「向き」も気に入ってもらわないと住み家に選んでもらえない。

今春はまぐれで4箱もゲットできたが、来春からが正念場。


ミツバチのおかげで里山のぐるぐるまわりが楽しみになった。そして里山の山仕事も促した。

ミツバチのおかげで毎日、森林セラピーが楽しめ、葉タバコを植えていた50年前と行きつ戻りつでき、里山を見直すきっかけも与えてくれた。

西洋ミツバチと異なり、日本ミツバチは移動しないミツバチであり、3キロ四方を行動範囲にして、数千年の古来から里山とともに生きてきた。 

あなたの地域の里山にも必ず日本ミツバチは生息している。あなたがまだ気付いていないだけ。ボクも去年の春までそうだった。

ミツバチの巣箱をまず5箱、設置してみませんか。 

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就職難と自営業


サラリーマンをしていたら、今頃、くたびれきっているのだろうか。それとも第2の人生が始まると希望に燃えているだろうか。

都会に住んでいると第2の人生の選択肢は少ないような気がする。田舎では家庭菜園を始める人が多い。だから「何もすることがない」というようなことは少ない。

現役時代とは逆に、定年後は田舎の方が暮らしやすいと思う。


就職難・・・就職が難しくても、何か自営できる道はないのだろうか。たくさん稼げなくても、国民年金の満額支給(80万円ほど)くらいは普通にがんばれば稼げる自営業が、今のような世の中にはぜひ必要だと思う。

普通に80万円ほど稼げるなら、ベーシックインカムという主張はしないが、自営業でそれだけ稼ごうと思えば、現在の世の中では相当に難しいと思う。

就職難の人たちに、農業で80万円ほどは確実に稼げる道を政府は用意(保障)する必要がある。

各市町村で、そういう形で毎年5~10人ほど雇えないだろうか。3年間ほど農業を学ぶ、もしくは農業の空気に触れるくらいでよい。3年後の独立も、借家借地を各市町村で手配してあげる。そうやって確実にベーシックインカムくらいは稼げる道を提示できないだろうか。

新卒ではなく、30代、40代、50代の人の選択肢として、こういう方向をお膳立てする必要があると思う。



最近の朝日新聞は「反民主」の論調が顕著と思う。自分は現政権を支持していて、そういう立場でいつも朝日新聞を読んでいるからだろうか。

昨日の第1面に岡田幹事長のげっそりした顔を載せたのは「あきらかに失礼」だと思った。ある種の作為さえ感じた。見た瞬間そう感じたのは自分だけだろうか。

現政権を支持する理由は、前政権に比べたらはるかにいいと思うから。政治は単に比較の問題であり、いつの世の中でも改革は遅々として進まないと思う。

では他にどんな選択肢が考えられるだろうか。二大政党ならどちらかを選択せざるえないし、小党乱立なら、全く異なる政策の政党と連立を組む可能性が高い。

二大政党の「大連立」などもってのほかだと思う。今日の朝日新聞でジャーナリストの田原総一朗さんが大連立を論じていたが、この人は自民・公明系の論客と思う。そして朝日新聞で重用されている。

やっと変えれた政権だから、4年間は続いてほしいと思う。

茨城県議選では民主党は惨敗だったようだ。


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探し物は何ですか

年末が近づいている。

年賀状を書くのが面倒くさい。

出したくないが、お世話になった人には出さざるをえないし・・・

パソコンが使えればいいのだが、

ブログ以外の機能はほとんど使えないし、

だから手書きで出す。必要最低限の10枚ほど。

書くのはたぶん12月25日以降~、面倒くさい・・・



ミツバチは何年飼えるかな~

20年飼えたら、その時には77才になっている。

その年齢でも、葉タバコ跡地の急斜面が登り下りできるだろうか。
 
4年後の巣箱最終目標の35箱の設置場所はすでにイメージできて、それに沿った山仕事をしているが、果たしてこの地域一帯で35群を養える密源があるかどうかもわからないし、その時にスズメバチ捕獲用のペットボトルがどれくらい必要になるか、見回り等の1日の労力がどれくらいかかるか、採蜜がうまくいくか、それらはまだイメージするところまでいっていない。



半日ほど費やして、どこにいったか、わけがわからなくなっていたメモ書きや書類の整理をした。部屋が散らかっていると頭の中も散らかって、どうにもならなくなる。

探し物がやっと見つかった。実はいったんあきらめて田んぼに出たが、懲りずに探し続けたらやっと出てきた。


田んぼもこういう状態で散らかっているが、これから春にかけての3ヶ月間は草がほとんど伸びないので、春にかけては田んぼが片付く。


冬の間に、家の傍の防火用水(堀池)の泥上げをして、ごちゃごちゃになっている家の納屋を片付けて、そこに置いてある母の嫁入りタンスも、自分が元気なうちに焼却する必要がある。しようしようと思いながら3年ほど過ぎた。

身辺整理はしておかないと…そんな年齢に入りつつある。


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雨の一日

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今日は1日雨の予報だったので、昨日たっぷりと雑草を食べさせておいた。

たまった事務処理をしたり新聞を読んだりした。
 
逸見政孝さんの妻(逸見晴恵さん)死去(61才)
1993年、人気アナウンサーの夫、逸見政孝さんの胃にガンが見つかった。テレビの生中継でガンを告白し、末期での13時間に及ぶ大手術の末の壮絶な最期は、マスコミの話題をさらった。半年後、自身が子宮頸ガンになった。政孝さんは主治医に遠慮し、セカンドオピニオンを拒んだ。「私は後悔したくない」と、主治医以外の医師2人に意見を求めて治療方を決め、克服した。手記の出版をきっかけに講演を始め、セカンドオピニオンの大切さを訴えた。
 「医者まかせじゃなく、患者から情報を求めようと伝えたい」(朝日新聞12月11日)

今はインターネット等でかなり情報を集める手段はあるが、現実に直面すると、医師のいいなりになりそうな気がする。セカンドオピニオンをすっと受け入れてくれる医者は少ないのではなかろうか。


今年度の小作料1万2千円ほどを地主さんに支払いに行った。数日前には別の人から、小作料として米2俵(120キロ)をもらった。つまり、借りている田んぼもあるが、作ってもらっている田んぼもある。支払いより、もらえる方が多いのはありがたい。


早く手を打たないと、草食動物の害獣が増えすぎて農業どころではなくなる。肉食動物がいなくなっているのだから草食動物は増え続ける。


鳥インフルエンザは「渡り鳥説」に決めつけたいようだが、野鳥の死骸はほとんど発見されていない。口蹄疫もあれほど伝染力が強いのに、野生動物の死骸が見つかったという報道は一度もない。つまり、野生のものには感染しないというか、発病しないと考えれはしないだろうか。密度の高い多頭飼い(大羽数飼い)という飼育自体に問題があると思うが、新聞でこういう意見は見たことがない。書けないことなのだろうか。

韓国でまたも口蹄疫が猛威をふるっている。鳥インフルエンザより怖い。なぜなら鳥の数百倍もある巨体動物だから。

鳥インフルエンザ(島根県)1例 、殺処分数2万1549羽(消毒措置終了までの期間は6日間)

口蹄疫(宮崎県)292例 、殺処分数約29万頭(消毒措置終了までの期間は76日間)
(朝日新聞12月12日)
 
ニワトリ2万1549羽でも、ものすごい量なのに、豚や牛29万頭というのは幾何学的数字である。昔ながらの飼い方なら、犠牲はその100分の1でおさまっていたと思う。これでもまだリスク管理として分散より集中の方がすぐれていると言えるだろうか。



閉鎖空間という地獄(朝日新聞12月9日・池澤夏樹)
学校のいじめについて、何が本当の原因かと考えて、この逃げ場がないということに思い至った。いじめる側は手加減を知らない。スーパーマーケットで誰かが殴られているのを見れば、店員ならずともすぐ警察に電話する。しかし学校ではすべては内部に封じ込められる。事件が起こると教師と保護者が一体となって外部から学校を遮断する。時には悪いのは死んだ子とさえ言われる。ぼくは日本の学校は今も軍隊をモデルにしていると思っている。服装や髪形などの形式的秩序、全員参加の強制、絶対服従・・・。

逃げ場がないのはサラリーマン生活もいっしょ。つまり学校生活の延長がサラリーマン生活である。だから、農業という逃げ場がどうしても必要と思う。競争や儲けとは関係のない環境保全型農業(自給自足型農業)をベーシックインカムで支援する必要があると思う。

小さな農業は癒しの農業である。この側面で農業を捉えない限り、農業の衰退は止まらない。 

 
当地ではスギやヒノキなどの植林はないので、昔ながらの植生の雑木林である。スギやヒノキのない風景は故郷そのものであるが、今その雑木林は「ナラ枯れ」という大問題に直面しつつある。


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出荷に冬時間を採用


現在の出荷先は、いつでも納品できるので、とても便利でありがたい。

朝は霜が降りて、9時半頃でないと収穫は始めれないので、納品は午後からになるが、午後から訪問客があっても、4時頃から納品できる。朝8時頃から夜9時頃までの間に納品したらよい。置くスペースもたいていあいている。

ただし、品ぞろえが悪いとスーパーとしては問題があるので、できるだけその意向に沿った納品に協力したいとは思う。ただ規模は小さいし、ハウスはないし、そう若くはないしで、どんどん出荷というわけにはいかない。ボクをのけたら平均年齢40才ほどの精鋭集団の中に加えさせてもらっている。
 



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昼前と夕方の2回、Uさん方へ薪を運んだ。これを薪割りできるほどの長さにもう一度切断し、薪割りして、所定の置き場に並べ、薪ストーブで暖まるというスローライフを楽しまれている。

百姓であること自体がすでにスローライフなので、これ以上のスローライフは自分はできない。
 
土間の台所のクドで使うため、薪割りは、50年前までは冬の必須作業だった。台所が暖まり、しかも煮炊きができるという暖房と実益の両方があった。しかしそれをスローライフとは誰も思わなかった。


間食にふかし芋を食べ、シイタケの入った煮物を楽しみ、食後にキーウイやフェイジョアを食べ、ユズ茶を楽しむ。百姓とは最上のスローライフである。


犬や猫を飼う「単なる癒し?」のスローライフはしない(できそうにない)が、ニワトリやヤギやミツバチを飼うスローライフは、「癒し+実益」を伴うので一挙両得を狙う。

手間がかかる、負担になるという第1段階を越えると、ヤギはなついてくれる癒しと風景の癒しの2つを与えてくれる。ただし、「草刈」という実益はほとんどない。「ヤギ乳」という実益と手間に関してはまだ未経験でわからないが、乳搾りは手間というより癒しになるだろう。

ニワトリに手間はほとんどかからず、実益は多い。農業をしているなら、田んぼのわきで20~30羽ほどのニワトリを飼えば、野菜残さの処理や家の食べ残り処理ができ、田んぼがにぎやかになるし、卵も食べれるし、つぶして肉にすることもできる。

つぶして肉にすることは自分はしていない。買った方がはるかに安いし、我が家では肉はあまり食べないから。子供の頃には、飼っていたニワトリを祖父が肉にするのを見るのが楽しみで、その夜のすき焼きも待ち遠しかった。

ミツバチも「癒し+実益」の効果は高い。1日1回の見回りという手間をかけているように見えるが、見回りは手間ではなくて楽しみ。木に巣箱を据え付けて楽しむバードウオッチングよりミツバチウオッチングの方が楽しい。

したくても能力が伴わないことが多いが、いろんな助け舟で遂行できている。
※ブログの更新・・・かゆい所に手が届くような指導をしてくれる大学生の先生がいる。
※ミツバチ・・・近くに詳しい人がいる。巣箱も安く作ってもらえる。
※ヤギ・・・近くで飼っている人が10人ほどいる。
※山仕事・・・援農してもらっている。

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ある養蜂家を訪問

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友人の紹介で、日本ミツバチ養蜂家を訪問した。気軽に行ったのにかなりのベテランで、少し尻ごみをした。

7群、飼われていた。


ただ、この人のは重箱方式ではなく横箱方式だった。

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重箱方式を寝かせたのが横箱方式で、箱のサイズは重箱とほとんど同じであるが、長さは重箱方式の3.5段の高さ(57センチ)と同じくらいである。ただ、箱の後部を5センチほど高くして、傾斜をつけている。

重箱方式は水平だが、横箱方式のように少し傾斜があると、蜜や花粉の水滴が落ちた時に乾きやすく、夏場の風通しも良いような気がした。一般的には重箱方式が大半のようである。

重箱方式は14センチほどの高さの重箱を上へ上へと重ね上げて、採蜜をする時は、一番上の重箱を針金等を利用して切り裂いて、その箱だけ採蜜するが、横箱方式は長い一つの箱であり、9月に全部採蜜されるそうだ。

どうやって採蜜をするかというと、軽四に採蜜する巣箱を持ってきて、その後ろに同じ空の巣箱を置き、採蜜しながら団扇などで風を送り、蜂を後ろの巣箱に追いやってしまう。つまり、追いやられた蜂群はゼロからまた巣を構築していかざるをえない。9月に全部の蜜を取ってしまっても、その後に越冬用の蜜が蓄えれるのですかと聞いたら、大丈夫らしかった。ただ、成育中の蜂(子供の蜂)などは全滅してしまうのかどうか聞きのがした。 

1回の採蜜で5升(1升瓶に5本)ほど採れるらしかった。初年度は採蜜せず、翌年の9月から毎年1回採ると言われる。重箱方式で言えば3段を一度に採蜜してしまうのと同じである。素人的に考えると採蜜に関しては、蜂のストレスが少なく、子供の蜂も生き残る重箱方式の方がかなり優れているように思った。


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巣箱の周囲に「寒咲きナバナ」がたくさん定植されていた。右の画像はこぼれ種から自生したもの。ナバナには4つの利点があると話された。
(1)蜂が大変好む。
(2)花がとてもきれいである。
(3)人間が食べてもおいしい。
(4)近くを通るととてもいい匂いがする。 


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ミツバチを呼ぶフェロモンを出すキンリョウヘン。3つで少ないことはないですかと聞いたら、一鉢で花茎は10本ほど出るので、小さな容器に水をいれて1本ずつそれぞれの待ち受け箱の前におけばいいと話された。

キンリョウヘンは寒風(戸外)に野ざらしにしておき、2月になったら玄関に入れてちょっと暖かくしてやると、1ヶ月早く咲きだすので、4月上旬の「第1分蜂」にタイミング良く間に合うと言われた。

  
  
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分蜂は画像の桜の木の下部の又になっている箇所にしばしばするらしい。分蜂はよく晴れた日に5分ほどで機関銃のように、巣箱から出て行くと言われる。「1時間~1時間半かけて分蜂」と記憶していたのは自分の誤りだった。こんなに短時間で分蜂するなら、分蜂期には農作業はそっちのけで「待機」するかもしれない。平均して1箱から期間をあけて3群が分蜂するようだ。数年飼っていると分蜂の時期も読めるようになるらしい。

  
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分蜂が少し高いところだったら、5メートルほどのパイプ支柱の先に画像のような袋をつけて、それに受けるらしい。網だとミツバチの足が引っ掛かって死んでしまうからよくないと言われる。

   

ミツバチを飼っていることをそんなにぺらぺらしゃべるものではない。盗難の危険も多いし、できれば半径3キロ以内で飼っている競合相手がいない方が密源確保のためからも望ましいと言われた。

その他、ハッとするような言葉を何度か発せられた。

日本ミツバチと西洋ミツバチでは、チョウチョとトンボほどの違いがある。

採蜜できる量は、西洋ミツバチは日本ミツバチの10倍ほどと言われる。

ネズミモチやクロガネモチという「モチ科」の木が密源に良い。柑橘類やキーウイ、ブドウ、山ウドも密源に良いらしく、たくさんの柑橘類が植えられていた。

ミツバチの嗅覚は犬以上で、世話人を見分けるから、あなたはあまり近づかない方がよいと言われた。

スズメバチは「春の1匹、秋の500匹」と言って、春の女王蜂を捕まえることが大切である。

7群いると、外からやって来る別の分蜂も含めて、毎年20群ほどの分蜂を捕まえれるようだ。

飼い始めの初年度は翌年の春までにたいてい逃げられてしまうので、半分も残っているなら運がいいと言われ、冬期間は外に食べ物がないので逃去は少ないと言われた。

日本ミツバチが好む住まいは、
(1)静かで、農薬等の影響がない所
(2)里山に近く、夏に涼しい所

日本ミツバチの世話は、
(1)つかず離れず(世話をやき過ぎず、放っておかない)
(2)ゆっくりと作業をすること
(3)やさしく声かけをしながら作業をする

ここ2年ほど逃去は1群もなく、逆に、弱い群は野生に放つ(戻す)と言われた。
  


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農閑期の選択

   
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今日は風が強かったので、山仕事の後の雑木の焼却はしなかった。

太いドングリの木を1本倒すと、1週間分のヤギのエサになるが、ヤギは美食家でいろんな種類の草木を好むので、1日2時間ほどは外に連れ出して、雑草もたらふく食べさせてあげる必要がある。

午後からの半日では、2人でしても、太い木なら3本ほどしか処理できない。チェーンソーで切り倒した木を持ち運びしやすいようにさらに輪切りして、枝も落としてくれる。それらを山から鳥小屋近くまで下ろすのが自分の仕事である。山の上の方になればなるほど、それだけ時間もかかる。


山仕事をしていたら冬の農閑期はない。一昨年までは山仕事などほとんどしなかった。

山仕事などせず、ぼう~っとした時間をたくさん持った方がいいのか。

農閑期にしか会えない友人をたまには訪問して語り合った方がいいのか。

自己啓発の何かをした方がいいのか。

山村をドライブしながら、滅びゆく村と滅びゆく農業と滅びゆく国家を考察したりした方がいいのか。

後20年ほどの人生だから、後悔のない選択にしたい。

今年の農閑期は、今のところ、ミツバチのための山仕事をしているが、上に書いたようなことを並行して進めないとブログが書けなくなる。


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楽しい山仕事

  
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親しい人には「巣箱はいらんかな」と吹聴している。1つ見本を見せてくれれば自分で作ると言っていた人も、いざ見本を見ると、これが6千円なら安いと言う。その後で、6千円出したら1年中、足るほど蜂蜜が食べれるから、巣箱を置くより買う方が安くつくと言うので、「それは資本主義的考えだ」、自分で蜂蜜を取ることに意義があると返答した。

そして、半日で6千円ほど稼げる農業をしているのだから、おたくなら、材料を購入して半日かかって作るより、巣箱を買った方がかえって安くつくのではと、続けて話した。 

どちらの選択をするのか知らないが、いずれにしても「蜂友達」を増やしたい。


それにしても先ほどの、「6千円出して設置するなら、蜂蜜を6千円分買った方が安くつく」いう発想は、自分にはない発想だった。

しかし、これと同じことを稲作では考えていた。コンバインを300万円で買うなら、それで米を買うとすると300万円÷1万2千円(1俵の価格)=250俵も買える。1年間に1人平均1俵(60キロ)食べるとすると、4人家族だと62年も食べれる。

つまり、稲作では上のような計算をよくするのに、ミツバチの巣箱では考えもしなかった。 
  

     
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今年の山仕事は、ミツバチの「新たな巣箱置き場」を整えるためにする。

20年間、年に1回、草刈をするだけだった「葉タバコ跡地」が、ミツバチのおかげで有効活用できるようになった。

8アールほどの面積であるが、50年前には眼下に池が見渡せたのに、今は木がじゃまをして、木の間からしか池が見えない。

西日があたる東側斜面を避けて「コの字型」に20箱ほど設置できる。直線で200メートルほどの場所に「美しい森公園」があり、密源も豊富なため、20箱は十分に養えると思う。


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周囲にはクヌギの大木が多く、これを数年かけて切り倒したい。

山仕事は楽しい作業である。一昔前までは、冬の農閑期には一家総出で山に入り、楽しい時間を過ごしただろう。冬の4ヶ月間(11月中旬~3月中旬)の間に、1年間分の焚き付け用落ち葉、風呂焚きに使う下刈り、クドに使う割り木を作って、それを軒先に並べた。売る目的ではなく全て自給のためだったから、スピードを上げる必要もなく、きれいに整える必要もなく、人に使われてすることでもなかった。

50年前には、電話もなく、プロパンガスもなく、灯油も使わず、簡易水道で水代もかからず、テレビもなかったので受信料もかからず、車もどこの家にもなかったので車両関連費もかからず、冷蔵庫もクーラーも洗濯機もなかったので電化製品代もかからず、国民健康保険料や国民年金保険料も払う必要がなかった(国民皆保険が始まったのは昭和36年の4月から)。

出費が必要だったのは電気代だけだった。50年後の現在では電気代等のライフラインの支払いだけで月平均5万円を超える。


今の山仕事はチェーンソーを使う。チェーンソーは使えてもチェーンソーの刃を研ぐのは難しい。ボクは何回教えてもらっても刃が研げないので結局チェーンソーが使えない。だからUさん次第の山仕事である。Uさんは農業高校の「林業科」を卒業されていて「山仕事はレジャー」と言ってくれるが・・・。40年ほど前に購入したと言われるネーミング入りの厚鎌やナタを持参される。 


去年はヤギのために、ヤギ放牧場の南側の高木を10本ほど切らせてもらう山仕事をしたが、今年からはミツバチのための山仕事を始める。山から切り出した木は、
(1)クヌギはシイタケの原木に使う。
(2)その他の太い木はUさんが薪ストーブに使われる。
(3)その他の雑木や枝葉は焼却して消し炭を作り、田んぼに入れる。 

明日の午後はまた、楽しい山仕事。

    
        
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30年間にわたる2兆5千億~3兆7千億の農水予算

 
 
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出荷に行った帰りにコンビニでコピーをして、農業資材店で買い物をし、その後スーパーで買い物をして、少し腹ごしらえをして田んぼに出たら、すでに4時をまわっている。

大急ぎでヤギを外に出し、ニワトリにコゴメと米ヌカと購入飼料を与え、家から持ってきた台所の生ごみを所定の場所に捨て、明日の出荷のキクイモを掘り、すぐに選別して、はねたキクイモは鳥小屋に持ち込む。その後ヤギを放牧場に戻し、電柵のゲートを閉め、家の簡易水道でキクイモを洗っている時はすでに薄暗かった。 
 
大急ぎでダイコンの皮を向いて適当に切り、シイタケも適当に切り、キクイモはそのまま、タマネギは適当にスライスし、肉団子少々を入れ、醤油、砂糖、酒、みりん、ダシを適当に入れて煮物を作った。煮え始めた頃、家人が帰宅してサバを焼き、キャベツとソーセージを炒めると、晩御飯のできあがり。自分が作った煮物は明日昼のおかず。


ニワトリもヤギも、冬だからといって、特別に保温はしていない。夏と冬の温度差を家畜はどうやって工夫しているのだろうか。聞けるものなら聞いてみたい。ただヤギは夏毛から冬毛に変わっている。ミツバチも、巣門を狭くするくらいで、他には何もしない。どんな工夫をして越冬するのだろうか。

日本ミツバチを飼育する人が増えているのはインターネットのおかげと思う。インターネットで巣箱の作り方や飼い方のマニュアル化が進み、誰でも比較的簡単に手を出せるようになった。ただ、里山が崩壊する時、日本ミツバチも同様のコースをたどるだろう。


ニワトリもヤギもミツバチも「売上」には貢献していない。それなら「売上」の足を引っ張るマイナス要素かというと、一概にそうとも言えない。


農業の後継者がいない。それは我が家に限ったことではなく、集落の大半の家がそうである。だから、草ぼうぼうの荒れ地になるのは遅かれ早かれどこの家も同じである。どこもそうなら誰にも迷惑はかからない。
 
自分一代限りの農業を展開している。しかし振り返ってみれば、普通にサラリーマンが続けれていたら、父の死と自分の定年までに20年ほどの農業空白期間ができていたはずである。つまり「偶然」が農業の継続につながっただけ。


農業は本来「自給の産業」であり、それを「換金の産業」と捉えるからおかしくなる。もう一度「自給の産業」に戻す必要があると思う。それにはベーシックインカム(現役世代の年金)が必要と思うが、それは絶対に無理だという固定観念が先行している。税制を変えるだけで可能という試算があるのに。


農林水産関係予算のピークは1982年の3兆7010億円であり、直近の最高は2000年の3兆4279億円であり、今年は2兆4517億円だった。30年間にわたって2兆5千億円~3兆7千億円の農水予算が組まれているのに、農業の凋落ぶりはどこに原因があったのか。効果のないところに湯水のごとく費用が投じられている。そして今後も投じられようとしている。
 
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巣箱を売ります

 

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巣箱を10セット注文していたが、そのうち5セットを持ってきてもらった。

この画像で巣箱の全体像がわかりますか。随所に細かい仕掛けが施されており、説明図(下の画像)ももらった。

1セット(3.5段)を6千円でお売り致します。ご希望の方はメールで購入希望をお知らせください。県外でも宅急便等を利用してお送りできます(送料は購入者負担)。県内の方は引き取りに来て頂くか、近くなら木工作家がお持ちします。

器用な方なら1セット注文されれば、それを参考にして自分で作れるかも知れません。

イノシシやシカなら無防備で設置可能ですが、クマの出没するところでは蜂蜜は大好物なので設置はできません。


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巣箱の中は対角線に割り竹を置いています。簡単に取り外しができるように、画像をよく見て頂ければおわかりのように、割り竹を置くサンもついています。

  
   
  
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では、木工作家が書かれた設計図から具体的に説明いたします。

日本ミツバチ重箱式巣箱 仕様

全体の高さ・・・57センチ
箱の内径・・・・・24センチ
箱の外径・・・・・27センチ
板厚・・・・・・・・・15ミリ
中蓋・・・・・・・・・・4ミリのベニヤ板
巣門・・・・・・・・・・6.5ミリ×12センチ
巣箱1つの高さ・・14センチ
巣門のついた(最下段の)箱の高さ・・8センチ

今回の改良ポイント
※ 縦に夏場の出入り口をつけた。6.5ミリ×5センチ
※ 連結板(箱のズレを防ぐ三角形)→採蜜時の取っ手にもなる(巣箱の上にブロックの重しを置くのでなくても可)。

ミツバチ飼育は、数人の仲間と情報交換をしながら、もしくは指導を受けながら進めると、楽しく飼えて、農作業がそっちのけになるほど「はまる」。

巣箱設置等に関しては、私もしくは木工作家が電話やメールでご質問にお答え致します。 
 
ネットで「日本ミツバチを飼いたい」と検索すれば、いろんな情報があふれていて、近くで飼っている人が結構見つかると思います。

ゲットできる確率は1割で、キンリョウヘン(ミツバチを誘うフェロモンを出すラン)の花茎を巣箱の前に置けば確率は2割ほどにアップします。だから少なくとも5セットは設置した方がいいです。合計で3万円かかりますが、入らなくても翌年以降にそれがまた使えます。巣箱の上に雨よけの波トタンを置くので5年は十分に持つと思います。

器用な方は1セット購入すれば後は自分で作れるでしょう。季節ごとの作業ポイント等を書いたパンフレット(5枚)等もお渡しします。
 
日本ミツバチは近くに里山があればどこにでもいます。そして意外と簡単に捕まえれます。全くの素人である私でも5セット設置して4セットも入ったのですから。

西洋ミツバチと異なり、山の中の人目には目立たない花が重要な密源になるようです。
 
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この発言はタブーなのか

 
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道に竹の棒を1本置いて注意を喚起している。うっかり「自分が」、電柵ゲートに突っ込んでしまうことがあるので。
 
霜が降りた朝でも、9時半頃にはシュンギクの収穫が開始できる。しかし霜にあたると傷むので、明日はべた掛け資材で覆う予定。



鳥インフルエンザの犯人は野鳥と決め付けたような書き方を新聞はしているが、大いに疑問である。

鳥インフルエンザにかかるのは、ケージでの大規模養鶏が大半である。30羽ほどの家庭菜園規模の養鶏が最初にかかったことはまだ一度もない。

このことは何かを暗示しているのではなかろうか。

野鳥との接触は、家庭菜園規模で30羽ほど飼っているニワトリの方がはるかに多い。なぜなら、野菜クズや雑草をたらふく与えていて、それらの青菜についた野鳥の糞を介しての接触は頻繁に起こっていると思う。それなのに、家庭菜園規模で最初にかかったことは今までに一度もない。

地べたで飼っている(動ける)30羽ほどのニワトリなら薬剤フリーであるが、数万~数十万単位で飼っているケージ飼いでは、ニワトリはほとんど身動きができず、しかもウインドレス鶏舎で飼われている場合が多く、どうしても抗生物質や抗菌剤の多投につながると思う。多投によって「耐性菌」の発生が促され、それが突然変異によってインフルエンザのような菌が発生しやすい状況になると、以前に新聞で何回か読んだ記憶があるが、それを今ここで持ち出すことはタブーなのだろうか。

「野鳥が原因」という確信的な記事を書くなら、より頻繁に野鳥と接触している家庭菜園規模の養鶏になぜ、鳥インフルエンザが発生しないのだろうか。

今まで、定期的に鳥インフルエンザは発生してきた。今後も定期的に鳥インフルエンザは発生し続けるだろう。「飼い方」に問題がありはしないだろうか。

なぜ「飼い方の問題」が全く論じられないのか、おかしいと思う。


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売上や収入にこだわらない選択

 
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巣箱の台座に落ちている巣クズの掃除をしようと思い、頭には麦わら帽子の防虫ネットをかぶり、手にはゴム手をつけて山に上がった。

巣門の出入りはなかったのに、開けて掃除を始めると、中のミツバチが怒り始めて、十数匹が顔のまわりをぶんぶんと飛び回り始めた。寒くなると怒りっぽくなるようだ。

 
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3つのペットボトルに26匹が入っていた。今回は右の画像のように蛾や蠅がたくさん入っていた。スズメバチは少なくなったので、次に仕掛けるのは3月下旬頃の予定。
 

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2頭飼うと個性の違いがよくわかる。オスは感情の起伏が顔によく表れるが、メスはあまり表さない。兄弟なのでオスは去勢をしたが、メス、去勢オスというコンビは、メス2頭のコンビよりいいかもしれない。

兄弟ではないメス、オスの組み合わせは、オスの凶暴さと大きさと異臭の3点から初心者が飼うのは難しいように思う。もしオスを飼う予定なら、飼っている人を訪ねて、発情期(9月~12月)のオスの状況を見せてもらった方がいいと思う。


今日はキクイモとレタスとシュンギクの3種類を出荷した。キクイモは前日に収穫し、選別し、洗っておくが、昨日は出かけていたので、今日収穫し、選別し、洗い、袋詰めをした。シュンギクも株張り品種で黒マルチをしていなかったので、葉裏の泥はねを洗わざるをえず、やたらと時間がかかっている。

春夏作で洗う必要のある野菜はなく、袋詰めも秋冬作よりかなり素早くできるし、袋数も春夏作は秋冬作の2倍以上出せる。自分の場合、春夏作で稼いでおかないと秋冬作では稼げない。


メジャーな野菜をなぜ作らないのかとしばしば聞かれるが、メジャーな野菜は苦手だからと答えるしかない。だからキクイモのような、他の生産者が敬遠するような作物を出していくしかない。ただ、メジャーな野菜をたくさんは作れないが、少し多い程度ならさほど負担を感じずに作れる。

だから「お客さんが欲しがり、売れるものを作る」ということは、王道だが自分には難しい。

それを克服しようと努力することは、あまり気が進まない。自分の比較的得意と思える野菜を中心に今後も作っていくだろう。

メジャーな野菜を上手に作って多量に出荷するような人は、メジャーでない野菜も上手に作って多種類出してくる。例えばアイスプラントとか赤カブとかこの時期に出すトウガンやナンキン等。だからいずれにしても上手な人にはかなわない。農業を始めて3~4年の人がいつの間にか追い抜いている。

しかしそれは単に個性。

農業は稼いでいる金額が全てではなく、売上や収入だけにこだわらない選択をしている人も多い。

無農薬や無化学肥料にこだわって一切使わない人

不耕起栽培に徹底している人

環境問題等から黒マルチ等を一切使わない人

農業にはいろんな生き方をしている人がいて、驚くほど多様である。

めざす方向が異なると参考にならない(したくない)ことも多いが、一つ垣根を越えてみると新しい発見があったりする。
 


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八塔寺のNさんを訪問

 

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八塔寺川ダム河畔にある人気のバイキング料理店。平日なのに駐車場には車がたくさん止まっていた。そこから車を100メートルほど走らせると右手に美しい滝が見える。もう2週間早ければ紅葉が楽しめたのに。


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1年ぶりに八塔寺のNさんを訪問した。島根県で鳥インフルエンザが発生したので、厳重警戒中だった。




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深い山の中の一軒家であり、最も近い民家でも2キロほど離れている。左の画像の白い建物が4棟の鶏舎である。


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広々とした空間で1500羽ほどのニワトリを飼っている。以前には鶏舎の前がそれぞれ遊び場だったが、鳥インフルエンザが問題になり始めてからは、戸外には出さず、鶏舎の中で飼っている。鶏舎はNさんの手作りである。

       
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ここに入植する前からあった「かやぶき屋根」がまだ残っている。     
    
    
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左の画像はモロッコインゲン。春夏作でキュウリを9アールほど作り、その後作にモロッコインゲンを作っている。他にピーマンが1200本ほど。野菜はこの3種類のみで、販路は卵と同じく自然食品の流通組織に出荷している。右の画像は堆肥舎兼農具置き場で、これも手作りである。

大都会の非農家出身でもこれだけやってのけるのだからすごい。大阪の能勢町に通い農業を6年ほどした後、すでに廃村になっていたこの地の空家と田んぼを購入して入られて25年になる。

農業を始める前に本で見てNさんを知り、初めてこの地を訪問してから21年が過ぎた。出身地である大阪の顧客を対象に長くセット野菜の宅配をされていたが、徐々にニワトリを増やし、野菜も品目をしぼって現在のような出荷形態に移行された。

農業をする上で必要ないろんな能力が備わっている人である。

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山仕事(3回目)

  
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午後から3回目の山仕事をした。「山仕事=焼却」のようになっているが、山仕事をすれば木の切れ端がいっぱい出る。父母の世代では、どんな切れ端も家に持ち帰り、軒下等に収納しておき、風呂焚きやクドに利用したが、今は台所で木を利用することはないので、雑木は田んぼの一角で焼却処理するしかない。

ただ、単に燃やしてしまうことと、消し炭をとろうと意識して焼くことの間には大きな開きがある。去年の山仕事でも同様に焼却したが、ほとんど「灰」にしてしまった。それが今年は、少なくとも「4袋×15回=60袋」は確保して田んぼに入れようと、常に意識しながら焼却している。

1時半頃から3時頃まで、薪ストーブに使える部分はUさんにチェーンソーで輪切りしてもらい、その他の部分を3時頃から4時半過ぎまで1時間半かけて焼却する。

休まずにどんどんくべて(灰になるのを少なくするため)、火が下火になったら一気に水をかけて消す。

「くべる」という言葉をご存じですか。これは方言なのか共通語なのか知らないが、燃えている火の中に投入することを「くべる」と言う。 

「クド」も知らない人が多いと思う。ボクが子供の頃にはまだ「台所は土間」であり、その土間に「クド」が設置してあって、クドでご飯を炊いたり、お茶を沸かしたり、おかずを作ったりしていた。クドは並べて2つあった。クドと直角方向に五右衛門風呂の焚き口があった。つまり焚き口は3ヶ所あり、クドでは主に「割り木」を使い、五右衛門風呂では主に「下刈り」を使った。焚き付け用の落ち葉はその両方で使う。だから落ち葉(落ち葉置き場もあった)も、下刈り(細い枝や低木を1メートルほどの長さに切り揃えて縄で束にしたもの)も、太い薪(ナタで割って割り木にする)も、山仕事で発生した全てを家に持ち帰っていた。捨てたり、その場所で燃やしたりする「粗末」なことはしなかった。

山仕事には、老若男女すべてにできる仕事があった。だから子供でも大いに役に立った。 

これらのことは、たった50年ほど前のことなのに、そんな時代背景を共有できる人はすでに50代後半の世代くらいまでである。


山の木が不必要になってから、山は荒れ放題。

荒れ放題になって1年後にはもうマツタケが生えなくなり、山ナスビ(今のブルーベリーにそっくりな実)は実をつけなくなり、マツ枯れが生じるようになった。そして現在は「ナラ枯れ」という大問題も引き起こしている。これらはすべて「山が荒れ放題」になったことに起因する。

これは一つの「産業革命」だったのだから仕方がない。

このようにして日本全国の「里山」は放棄されていった。だから名古屋で開かれたCOP10で日本が唱えた「里山イニシアティブ」は滑稽だった。放棄されてすでに50年近く経過しているのだから。


人間は2千年以上にわたって、山の恩恵を受けながら生きてきた。山の恩恵がなければ生活していくこともできなかった。豊かな森林は木の実やキノコを育てて人間の食に提供し、大雨が降っても根に水を蓄えて洪水を防ぎ、谷川の美しい豊かな水量は、のぼって来る魚の宝庫となった。

だから人間のDNAには「森の生活」が刻まれているのに、50年ほど前の産業革命(火の革命)によって、山から追い出されて(山に依存する必要がなくなり)、山仕事の楽しみも癒しも奪われてしまった。その代用が「森林セラピー」や「里山ウオーク」である。


人間が放棄した山には野生動物も住めなくなり、奥山を捨てて里山に進出してきた。そして里山を根城にしながら夜な夜な平野に出没するようになった。


山(森林)の崩壊は環境問題を引き起こす。山の生態系も山の多様性も人間が手を加えなくなって喪失してしまった。

里山を生かした自給自足的な生活に復帰できる道はもうないのだろうか。それとも、近代文明が行き詰まり「歴史は繰り返す」のだろうか。

農業、雇用、環境を改善するには「ベーシックインカムで自給自足」という革命を起こすしかないと思う。

企業組織は激務や差別や格差しかもたらさない。

資本主義の次に来る政治経済システムを、古くて新しい「自給自足主義」にしなければ地球はもたないだろう。
     
 


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安定していても安住してはいけなかった

  
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鳥インフルエンザは確かに怖い。一昔前には「ニューカッスル病」というニワトリの怖い病気があったが、今は鳥インフルエンザである。

日本で初めて鳥インフルエンザが発生してまだ7年ほどの歳月しか経過していない。

原因は野鳥だろうか。違うと思う。

我が家のニワトリは4坪半の小屋の中に閉じ込めているので野鳥との接触はないが、野菜クズや雑草を大量に小屋に持ち込むので、野鳥の糞を介しての接触はかなりあると思う。

仮に接触があったとしても、青菜のパワーと、おいしい簡易水道の水と、早朝から浴びる太陽によって、鳥インフルエンザを蹴散らしてほしい。



昨晩は、ダイコンとキクイモとタマネギとシイタケと肉だんご少々を入れて、おでん風の煮物を作った。今朝も少し食べ、昼も食べた。そして夜、家人の帰りが遅いので一人早く食べた。卵を1個落として。さすがに今夜でなくなった。
 
こういうのを食べていると腹が立たない。身体にも心にもやさしい。キクイモは皮をむかずに煮ると何度あたため直しても煮崩れせず、とても柔らかい。タマネギとシイタケがいい味を出している。 
 


直売所出荷を始めて1年が経過したが、まだもたもたしている。去年の今頃、来年こそはと思ったのに、どうもうまくいかず、今年もまた来年こそはと思っている。

それでもワンパック宅配だけで終わらずに、新しい出荷形態にトライできたことは、今後の人生に大いに役立つと思う。安定していても、安住してはいけないと思った。常に新しい何かを模索しつつ並行して現在の農業を続ける必要がある。



20年前、農業をスタートした頃の37才と、20年後の77才とでは、同じ20年の年の経過でも大きく違ってくるかもしれない。37才と現在の57才ではあまり違わない。

58才、59才、60才、61才という年の変わり目の4年間の生き方は、その後の人生に大きな影響を与えると思う。もちろん現役を続けるが、半農半XのXを見つける必要のある4年間でもある。



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月桂樹をおいしそうに食べるヤギ。ヤギの食性は成長とともに多少違ってくる。1年前は月桂樹はあまり食べなかった。

ヤギの本には「ツバキ」が好物と書いてあるが、うちのヤギはツバキはほとんど食べない。竹やぶの中には昔、大きな寺があったので、そのためか竹やぶの際や山にツバキが多い。
 

 
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転職を繰り返し、新たな就職口が見えなくなった時に農業がひらめいた。今の就職難の人たちに自営の道が想像できるだろうか。就職難でもサラリーマンの道しか見えない。だからきわめて生きづらい。

世界恐慌の時にアメリカの大統領が行った有名な「ニューディール政策」のような政策を、今の農業に起こせないだろうか。TPPに参加して、従来の農業補助金のあり方を一変して、自給自足支援型(ベーシックインカム型)に変えることができれば、新卒を含む多くの就職難民が救われる。

農業は成長産業でもなく、攻めの農業でもなく、競争産業でもなく、輸出産業でもなく、自給するための農業が本来の農業である。


ニワトリを飼っているから鳥インフルエンザは怖いし、ヤギを飼っているから口蹄疫も人ごとではない。1ヶ所に何万、何十万羽、あるいは何百、何千頭も飼う方法は誤っている。これは動物を飼う方法ではなく物を扱う方法である。

植物が会話するくらいだから、家畜も当然会話をしているはずだ。逆に人間がケージに閉じ込められて一生を送らなければならないとしたらどう感じるだろうか。


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
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