99歳の日野原重明さん(聖路加国際病院理事長)が、「老人が若々しい新老人でいるためには、何歳になっても、今までやったことのないことに挑戦することが大事なのです」と新聞に書いていた。
つまり、何かに興味を持つことだが、大都会にいては(自然からかけ離れた状態で住んでいれば)、興味の対象は、さほど増えないような気がする。
農業をしていたら、それに付随するいろんな興味が不思議と湧き出てくる。
田んぼ訪問、景勝地訪問、見知らぬ土地の訪問(山村のドライブ)、棚田めぐり。
都会だったら、何かに興味を示したら、とたんにカネの心配が発生するように思うが、田舎だと、あまりカネを使わずに、上記のような楽しみが持てる。ガソリン代と缶コーヒーと昼飯代くらい。
そんなこと面白くもないという人も多いだろうが、全く面白くなくても、自分を何か夢中になれる環境におくためには、出歩く必要がある。
それはたった1人でできるし、1人の方が楽しめる。
最初から興味など誰もないと思う。何かやっているうちに残ったものが、自分にとっと興味があるものだろう。
楽しみや生きがいは結局、自分で見つけるしかない。
農業ばっかりせずに、今から、そういう視点で動くことが大事だと思っている。その方向が決まったら農業を止めてもいいと思う。止めてから探し始めたのでは、数年が無駄になる。そのためには半農半Xくらいに持っていく必要があるが、現実は厳しい。
定年後に何をするかは、定年前5年ほどで方向付けをしておく必要があるように、農業を止めてから何をするかは、止める5年ほど前から、経済的な問題も含めて関心の方向はある程度固めて置く必要がある。
えらそうなことを言っているが、自分のやりたい方向が決まっているわけではない。決まっても、カネがないからすぐには実行できない。どうするかを今後3~4年、考え続けていきたいと思う。
いずれにしろ、何かに無理やりにでも関心を持つようにしむける必要があるだろう。
TPPはいろんな意見の対立で前に進まないと思う。
それなら日本だけ外れて、現状のままで行った方がいいのかというと、多くの人はそれに反対するだろう。
補助金をもらってきた人や組織の既得権益を打破することは難しいが、この国の過去40年ほどにわたる補助金のあり方が、日本の農業を崩壊に導いたことだけは事実である。
長く日本の農業は、自民党、農水省、農協が三位一体だった。
その失政が現在において表面化している。
農作物を関税なき完全自由化にしたら、大多数の日本人は購入する上での選択肢が増えるし、貧乏人は大助かりである。
稲作などすでに損得抜きでやっている人も多いから、自由化されようがされまいが、時間の問題で稲作は放棄されていくと思う。山ぎわではすでに、イノシシの被害により稲作を放棄する人も増えている。
今TPPに反対しても、近い将来、これではいけないという人たちが、民主党からも自民党からも出てくる。自由化は早い遅いの違いはあっても、いずれせざるを得ない状況ではなかろうか。
自給率が下がることがそんなに大きな問題だろうか。輸入野菜が途絶えたら、国産も高止まりして、結局、貧乏人は手も足も出ない。そんな自給率など何の意味もない。いざとなったら自分で作らなければならなくなる。国内の自給率など何の意味もない数値である。
とにかく、農業の衰退を打破するには、完全自由化して既得権益を崩すことから始める必要がある。自由化が農業を崩壊させるのではなく、現状を続けることが農業をますます崩壊させる。
害獣の問題、里山の荒廃の問題、マツ枯れやナラ枯れの問題は、自由化とは何の関係もない。これらの問題を解決するには、補助金のあり方を変え、ベーシックインカム型の補助金にして、1人1人の生き方を変えていくしかない。
農業崩壊は自由化以外の問題にあるのに、さも自由化が問題のように置き換えている。