あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

駿河療養所  伊藤朋二郎さん



肉親と会いたし月の秋なれば




切餅の厚さよ切に父を恋う




いきいきと練炭燃ゆる穴の底




有名無名なべて詩人よ糸ざくら




海苔焼けばいきなり亡母の恋しくなる




冬紅葉空の紺碧支え立つ




木々は裸北條民雄いまはなし




人の身を包みて秋の始りぬ




凍港の如く灯して夜の医局




家と離る歳月熱き大根汁




万朶まんだ翌日は失くするくすり指



伊藤朋二郎さんの略歴
駿河療養所 『窓』作品集(昭和31年)『窓』第二集(昭和34年)に採録。


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駿河療養所  田中一心さん



くちびるにて点字習ふなり何時の日か我に来たらむ喜びの為




たらちねの母の悲しみ恐るれば偽りて病みぬ十年の間




みちのくの妻が送りし毛布かも雪降る山の我を温む


田中一心さんの略歴
駿河療養所。『苔龍胆』第二集(昭和29年)


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駿河療養所  神村正史さん



慰安金あたへらるる日の迫りたり歌集を買はむ振替を書く




かくまでに癩がみじめに見られゐてやや好評の映画が終る




今日一日汗を流して仕事せし眉なき吾の瞼はれたり




夜の山の径に別れて暫らくは君が触れゆく冬笹の音




はらわたに
カンナ屑などつめられし友の柩を送り終へたり




トラックに積まれてゆきぬ癩病みしこの老人の小さき屍




棒のやうな点ペンを友はあつらへて病に萎えたる手につかみ打つ




ふり来たる雨粒の大きさなどを言ひ盲の友は正座してゐる




盲ひてゆく果てなど思ひ眠りたるその夜は蒼き山の夢見き




病める眼をいたはりて双手を覆ふなる吾の姿勢を祈りと言へり


神村正史さんの過去記事



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駿河療養所  赤城たけ子さん



漠然と過ぎし一年を思いつつ今年の雑煮しっかりと噛む




大掃除終えし畳の清しさの痲痺せし足に伝わりて来ず




黄の蝶がたわむれいるよ古里におきこし吾が娘は十一歳か




髪の毛のふさふさゆらぎ坂道を
酸漿ホオズキを手に少女下り来


赤城たけ子さんの略歴
駿河療養所。『苔龍胆』第四集(昭和40年)


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駿河療養所  宇佐美章さん



一羽かふ鶏なれば宵宵を吾のベッドの下へにもぐる




われもこうのひときわ多きいただきに一人出で来て夕べを遊ぶ




松の芽の匂ひ漂ふあかつきも常の如くにカッコウ鳴けり




月二十枚の葉書の費用否決せし役員は百円の茶菓子を喰ひつ




芝山の芝も素枯れてしまひたり羊は
龍胆リンドウの花をも食らふ




院内監房設置反対の訴へも弱弱しかりき警官の前に




「発言の時は名を云へ」と言はれれば警官の前に誰も黙しゆく




進みゆく赤旗の集団にも入りがたき病にあれば歌だけ歌ふ


宇佐美(宇佐見)章さんの略歴
駿河療養所。退所者か。『苔龍胆』第一集(昭和28年)『苔龍胆』第二集(昭和29年)『陸の中の島』(1956年)


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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