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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

松丘保養園  田畑夏泉さん



花の下眼を失わぬ幸にいる




紅葉手に瞼に故郷の秋描く




男手の針を看護婦捨ておけず




指と足断っても野心断ち切れず




点字まだ読める舌あり挫けまい





入浴の支度に義肢の手間が要り




会いに来た子等が笑いを置いて行き




あばら骨見せて死線を越えた笑み




人形抱き母となれない子守唄




下積みの日を忘れまい竹箒




引っ越しに義肢も手ごろの荷を運び



田畑夏泉さんの略歴
松丘保養園 大正9年5月秋田県生れ。昭和23年北柳吟社入会。『浮雲』第三集(昭和45年)『浮雲』第四集(昭和55年)に採録。



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松丘保養園  渡辺苳里さん



青空を仰げば病める影もなし




母炊いたあの味噌汁の味を恋い




子の歳を一つ数えて一つ老け




蜩の中にも低音歌手があり




栗を煮る湯気が故郷を匂わせる




百姓の夢を四月の雪嗤う




風邪の妻労わるリンゴの色を撰り




十二月妻には妻の義理があり




働いた頃の秋刀魚の味を恋い




雪おろし屋根と屋根との佇ち話




妻の手の柔さを奪う冬の水




月あかりほめてお客の帰る音




記念樹の太さを抱いてみる母校



渡辺苳里さんの略歴
大正2年10月秋田県生れ。昭和17年1月北柳吟社入会。『浮雲』第二集(昭和35年)、『浮雲』第三集(昭和45年)、『浮雲』第四集(昭和55年)出詠。


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松丘保養園  渡辺白虎さん



点字本伏せると指に来る寒さ




残された倖せ指で読む光り




貧乏のどん底にいる肩の凝り




肩揉みの手を休ませるいい話




新薬が過去の視力を惜しませる




母の背があたたかかった子守唄




子を連れた客へ羊羹うすく切り




春の泥廊下で猫が叱られる




猫貰う約束へ名もつけてくれ




点字打つ夜更け隣に気を遣い




駅弁の訛り故郷近くなり




秋灯火妻も何やら読む気配



渡辺白虎さんの略歴
明治36年7月福島県生れ。昭和5年11月北柳吟社入会。『浮雲』第一集(昭和15年)、『浮雲』第二集(昭和35年)、『浮雲』第三集(昭和45年)、『浮雲』第四集(昭和55年)出詠。


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松丘保養園  早川三四郎さん



子の小さな肩にも世相のしかかり




ブランコに揺れてこの子も一人ぼち




足切って足に目方のあるを知り




ふるさとの聞きたいニュース短かすぎ




試歩の道知らない声に労わられ




カサコソと義肢に声あり落葉道




水溜り覗けば底にある宇宙




苦も楽もなく骨箱の中の妻




吾は盲耳を目にして道を行く




点字読むその口にさへ麻痺が来る




面会に義肢穿いて見せ脱いで見せ



早川三四郎さんの略歴
松丘保養園 明治35年1月秋田県生れ。昭和5年10月北柳吟社入会。『浮雲』第二集(昭和35年)『浮雲』第三集(昭和45年)に採録。



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松丘保養園  新田一二三さん



朝露に濡れて嬉しい花鋏




夢に見る母の姿が老いていず




生きていた噂別れた妻を恋い




今日もまた己を支える義肢を撫で




花一つ冬のベッドを喜ばせ




差別なく分け合う炉辺に茶が香り




みちのくの雪に声して春近し




枕辺に義足揃うて今日も無事



新田一二三さんの略歴
松丘保養園 大正8年2月岩手県生れ。昭和14年8月北柳吟社入会。『浮雲』第二集(昭和35年)『浮雲』第三集(昭和45年)『浮雲』第四集(昭和55年)に採録。


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp
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