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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

大島青松園  林みち子さん(11)




発病はいつかと問える医師の前とまどうまでに病古りたり




みかん買いし網の袋は入浴石鹸入れて重宝す指のなき手は




この夏の盛りを遠く来し甥が濯ぎてくれぬわれの食器も




年年の四月淋しき花の下に看護婦を送り婦長を送る




もの縫いて病忘れし日のありき今はフォークさえ握れずなりて




ワークにて園に集える若者の声をこの世の光とも聞く




赤ん坊を抱きとる形にわが受くる友が育てし結球白菜




すでに病癒えしと言うも寂しかり形変わりしわが顔よ手よ




ふるさとの梨食ぶる心ゆたかなりわれに残れる歯の音たてて



林みち子さんの略歴
大正4年11月徳島県生まれ。7歳で発病。昭和8年6月大島青松園に入園。昭和32年1月「関西アララギ」に入会。38年6月萩原澄と結婚。昭和47年第10回関西短歌新人賞受賞。昭和48年夫・萩原澄の古里に二人の歌碑建立。昭和60年1月関西アララギ年間優秀作品賞受賞。『やどりぎ』(昭和43年)『三つの門』(昭和45年)『心よ羽ばたけ』(昭和52年)『夕映え長く』(昭和63年)『ハンセン療養所歌人全集』(昭和63年)。傘寿を夫と共に迎え「らい予防法」廃止を記念して、歌文集『開かれた石の門』(平成8年・共著)を刊行。





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大島青松園  林みち子さん(10)




焼きくるるパンも朝朝手の変り人の心のまにまに生くる




向日葵のかそかなる芽が土割りて出づる強さよ二人の庭に




少女来て耳の垢をもとりくれぬ形式看護に落ちてゆく世に




未来もつ少女君らと語らひて病み萎えし心の隅があかるむ




大いなる墓立ち並ぶその間の小さき墓よ夫のちちはは




誰に会はむあてのあらねば父母の墓の傍に時ながく居り




高松に朝着く汝を迎ふべく後遺症ふかき顔に眉かく




肉身とも通ふこころかみとり婦の言葉あらきに誰にも好かる




貼り眉毛かつらにこの身よそほひてわが旅立のしたくととのふ




すこやけき人らの世界覗き来てまた療園にこころは復る





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大島青松園  林みち子さん(9)



挨拶する吾に一言返しのみ従兄は畦の草刈り始む




訪い来しを悔いつつ見をり牛小屋に牛が寝そべり物喰みゐるを




縁遠く従妹の娘残りゐることもこの身責めらるる思ひに聞ける




手紙などよこしくるるなと従兄らの非情の言葉もわが病ゆえ




五十年以上療養つづくる患者五名表彰さるるは幸か不幸か




舟に来て海苔養殖の筏組めど癩者の島と漁夫らうとみし




わが指の代りをなせる革の輪を離すことなし首に吊りゐて




引出しに夫の衣類と分けて蔵ふまた着む春を疑はずして




薄き眼を凝らしつつ読む書の上を照り翳りして冬の雲ゆく




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大島青松園  林みち子さん(8)



戯れに雪に押したる我の手は犬の踏みたる足跡に似て




海荒れて郵便船は今日も来ず島は孤立に昏れて灯ともす




椀豆のすぢを素早くとりくるるみとり婦のそのしなやかな指




療養所のビジョンによする考へも軽症者と我らの意見がちがふ




重不自由者寮の入居申請書きしぶる奈落の淵におつる思ひに




買物にそへてもらひしヨーヨーを与ふる子もなく手にもて遊ぶ




この島に果つるほかなき門柱と秋の入り陽の影ながく引く




編物をするわが肩の右に左に移りてあそぶ小鳥の重さ




眼薬を幾度もさしてわれが手に夫の歌集の稿書き上ぐる




病癒えて今ふるさとに帰りしも心やすらふ家すらもなく




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大島青松園  林みち子さん(7)



すこやかな人に対へば面伏する病卑下して身につきし癖




鉄線を引きて我らを入れざりし職員地域につづくこの道




癩医学のいけにへとなりし動物の墓をめぐりて紅葉する木木




戸に当り落ちしツバメの羽やさしわが手の内に動悸をうてる




隠れ病む身にしありせば妹と交す便りに仮の名をつかふ




傷しつつ濯ぎ濯ぎし年月に双手の指は遂になくなる




来ると云ふ姪の電話にうろたへてその場つくろふ嘘を言ひたり




一つなる物も頒ちて食べたきに病むつつしみに汝には出さず




容赦なくうつす鏡に向ひゐて病みくえし身の衿をととのふ




君と並ぶ我の名前のその下に未来を契る印を捺したり




2030年 農業の旅→ranking

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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在65才、農業歴29年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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