あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  浜口志賀夫さん(3)



指のない女患に継ぎをして貰い




子の便りうつろな胸に灯をともし




代筆のナースも共に泣いてくれ




逃走の思い出

憧れた故郷の風の冷たすぎ




ただ一夜泊めてはくれぬ兄の家




病院がいやなら死ねと父らしく




叱る父慰める母ともに泣き




雑居部屋たたみ二枚が俺の城




鉄瓶に艶を残して妻は逝き




亡き妻の息がこもれる火吹竹




子と対面
伜には見せたくはない顔を撫で




うつしてはならぬ倅に手を曳かれ





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長島愛生園  浜口志賀夫さん(2)



年金を行李に貯めて粗衣粗食




盲鈴が綺麗にひびく秋の朝




故郷の土つけた筍嗅いでみる




お茶席の窓へ紅梅かげを投げ




大工我れ茶筌さばきを見直され




鉛筆をなめている間にもう忘れ




目と頼む杖元旦へみがいとき




刺墨へナースかすかに声を上げ




酔うほどに二の腕に浮く紅桜




鋸の末路哀れや炭を切り




夢さめて孤独の闇が冷たすぎ




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長島愛生園  浜口志賀夫さん(1)



倖は不揃いなれど四肢があり




両足と両手でお茶の缶が開き




目もみえず足も立たぬに株を買い




病み古りた大工の我れに釘もすね




金槌の最期の一とつ効いた音




代読の声がうるんだ子の便り




岩影のデートを覗く波頭



(盲人会に入会して)
盲人としての一歩を踏みしめる




目に見えぬ速度で闇がしのびより




まだ杖を忘れる視力うらやまれ




このままの視力でいたい酒も止め




点字読む指一本が欲しい友




バーテンのようにみくじの筒を振り




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長島愛生園  辻村みつ子さんの川柳解説(10)



長島愛生園の雰囲気を変えた・・・。かなり衝撃的なデビューだったのではなかろうか。


解説によれば、平成4年4月刊行の異色の個人句集『海鳴り』(辻村みつ子)の序で、大森風来子は次のように辻村みつ子を紹介している。

たじろいだふりで女はたじろがず

風みどりなんときれいな霊柩車


これは昭和56年度岡山県文学選奨川柳の部の入選作品として、審査会会場で俳句、短歌、詩、随筆、小説の各部門の先生方から特に二つの作品について絶賛を浴び、川柳部門を担当していた私にとって、とても肩身の広い思いだった。

遥かなる人を海鳴り連れてくる

荒波の砂も涙も人恋いよ


全盲に近い日常生活を思う時、すべての事象を音と匂いを媒介として自分の脳裏に受け止め、空間にあるすべてのものを理解しようと懸命に生きている。


『海鳴り』より

美しい薔薇に飼われている毛虫

笑い声たてて別れに耐えてます

陣痛の呻きも知らぬ病葉よ

生きよ生きよ玉菜に肉を包みこむ

ラブ・イズ・オーバーなど唄ってみる日暮れ窓

白いショールに触れないでよあなた

海の鳴る日はきっちりと窓閉める

みやこわすれに私も忘れたと告げる

ジョークですか本心ですかそのうたは

左眼からこぼれるものは皆こぼれ

血まみれてまだそびえ立つ自尊心

女ゆえ指繃帯がすぐ汚れ

生きるとはスプーンの粥を飲みくだす

輝ける鴎のごとき翼欲し

痛みにも嘘にも慣れて日本晴れ

良薬を男にもらう十二月

大切な人失ったのは九月

壮烈な音で散ったよ療花火

泥舟に乗るほど命安くない

波キララ 私もキララ 死もキララ

大声で泣くだけ泣けて目が見えず



まさに鮮烈な句集。時実新子の句集もテープで聞いたという辻村みつ子に川柳を選んでくれてありがとうとお礼を言いたい。

人はどんな不条理な環境にあってもその存在を失わない━これが数多くの作品を読み終えた私の感想である。
(この巻の解説 田口麦彦さん)


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長島愛生園  辻村みつ子さん(9)



ほつれ髪深い祈りの掌を合わせ




五月はいいな陽のあかり葉のそよぎ




三界にこよなく沁みる虫時雨




バラの園バラ見るふりで泣いている




空も海も覆いかくすよ島桜




電話ください雨の日も晴れの日も




みだれ髪風の小島で梳き続け




雨の夜タンゴの好きな人と居て




春月に椿あぶなきまで開き




自尊心薔薇より赤き血を持てり




指定席あなた戻って来なかった




もの思いわが魂は星になり




赤い花ばかり買うのよ寒いから




伝言板わたしに何を書けという




河畔から毎日届くラブレター




痛みにも嘘にも慣れて日本晴れ





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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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