あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

邑久光明園  志田百枝さん



人訪はぬ楓陰亭に寂寥の吾を坐らす木目荒き椅子




わが身はもかくやあらむか担ぎゐる名を知るのみの柩がきしむ




ひさびさに穿きたる靴の音きしむ街の舗道踏みたきものを




世の隅の力乏しき生き態にたわやすく愛は言えざりわれは




ためらはず言ふべき愛か山茶花の花びら紅く枯芝に敷く





志田百枝さんの略歴
邑久光明園。楓短歌会『光明苑』(昭和28年)に出詠。



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邑久光明園  松田政敏さん



よく来たと只一言を言ひしのみ兄上は涙流し給へる




母そはの待ち給ふらむ吾が生家は夜の更けたるに灯りともれる




わが病全快すると待ちにつつ老いませし母に逢ふはかなしも




世の常の父と呼ばるることなくて三十五才の春去りにけり




別れ住む妻を恋ひつつ寝む夜の玻璃戸をつたふ秋の雨かも




松田政敏さんの略歴
邑久光明園。楓短歌会『光明苑』(昭和28年)に出詠。



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邑久光明園  平野春雄さん



癒ゆる日を幾歳経るも待つといふ妻の便りのかなしかりけり




海を知らずに育つ子のために集めたる貝がらも人は物好きと笑ふ




母の死にも帰れざりし心抱き来てみ冬の浜に吾が
うずくまる




今日限り脳裏ゆ消さむ面影よ繕ひくれし足袋をはきつつ




すくひたる砂に秋陽のぬくみあり忘れられつつ社会を恋ひ止まず




平野春雄さんの略歴
邑久光明園。『海中石』(昭和31年)『陸の中の島』(1956年)



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邑久光明園  長瀬実津緒さん



口に針くわへ引きつつ縫ひいそぐ夜なべの妻に甘藷焼きけり




幼児を思ふ一途に夢みしか病み臥す妻はうわ言を言ふ




父となること赦されず精管を断つといふなる今朝の手術室




義足吾に穿ける日もなき革靴を磨きて今日は友にゆずりぬ




病み崩ゆる身をば愛しみ初風呂に友と背なかを流し合ひをり




炎天の道に埃りをあげてゆく皮膚よわき足に冬足袋はきて




寒き夜を語りつつわれは懐に萎へゐる妻の手を温めぬ




冷えきびし夜の病床にあつあつの母の手打ちのそばの恋ほしも



長瀬美津緒(実津緒)さんの略歴
大正11年10月8日福井県生まれ。昭和17年1月18日邑久光明園入園。昭和52年11月19日没。中部短歌所属。『光明苑』(昭和28年)『陸の中の島』(1956年)『海中石』(昭和31年)


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邑久光明園  柚木 澄さん



ひきつりし鏡の中の我がかほは憎しと思ふいとしとおもふ




夜伽よとぎより帰る朝明けの静寂さに月見草の花まだ咲きてをり




かたはらに針運びつつ機嫌よき夫が読みます書をききをり




胸割りてみせたく思ふいきどほり空の青さをじっと見仰ぐ



柚木 澄さんの略歴
邑久光明園。楓短歌会『光明苑』(昭和28年)に出詠



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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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